お肉の解凍、忘れた日でも間に合います。残り時間で選ぶ解凍のしかた

肉の保存

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お肉売場からこんにちは。精肉部門の中の人です。

「夕飯の支度をしようと冷凍庫を開けたら、お肉を冷蔵庫に移すのを忘れてた。カチカチのお肉を手に、時計を見たらあと1時間……」

そんな経験、ありませんか?

じつは解凍で大事なのは、方法の知識より「残り時間から選ぶこと」です。解凍のやり方は世の中にたくさん紹介されていますが、忘れた日のあなたに必要なのは一覧ではなく、「今日はこれ」という1つの答えですよね。

私は毎日売場で冷凍と冷蔵のお肉を扱っていますが、同じ解凍方法でも、薄切りと厚切りではまったく戻り方が違います。だからこの記事では、残り時間と厚みの2つから、今日使う方法を1つに決められるようにしました。

先に結論だけ言うと、あと1時間あるなら氷水、30分なら流水、それを切ったらレンジの解凍モード+半解凍のまま加熱です。

残り時間からの逆引き早見表

まずは今日の残り時間で、使う方法を決めてしまいましょう。

夕飯まで残り時間別の解凍方法の早見表
  • あと半日以上ある: 冷蔵庫の下段に移す。これがいちばんおいしく戻ります
  • あと1時間くらい: 袋のまま氷水につける
  • あと30分くらい: 袋のまま流水に当てる
  • もう30分もない: レンジの解凍モードで半解凍にして、そのまま加熱調理へ

それぞれのやり方を、順に説明しますね。

あと1時間あるなら「氷水解凍」

ボウルに水と氷を入れて、お肉を袋ごと沈めてください。袋に穴があるとお肉が水を吸ってしまうので、心配ならフリーザーバッグに入れ替えて、空気を抜いてから沈めます。浮いてくるならお皿を1枚のせて押さえましょう。

薄切りやこま切れなら30分くらいから様子を見てください。指で押してみて、真ん中に芯が少し残るくらいで引き上げてかまいません。厚切りやブロックは1時間でも芯が残ることが多いので、半解凍のまま切り分けると早いです。凍りかけのお肉は包丁がスッと入るので、薄く切りたい日にはむしろ好都合ですよ。

あと30分なら「流水解凍」

氷水より早いのが流水です。袋ごとボウルに入れて、水道の水を細く出しっぱなしにして当ててください。ためた水につけるだけより、水が動いているほうが早く戻ります。

薄切りなら15分くらいから様子を見てください。ここでも完全に戻すことにこだわらなくて大丈夫です。半解凍で調理に入ってかまいません。そのかわり、中まで火が通ったかだけは必ず確かめてください。真ん中が凍っていたぶん火の通りが遅れるので、いつもより1〜2分長めに加熱して、切って断面を見るのが確実です。

30分を切ったら「レンジの解凍モード+加熱調理」

レンジで端が白く煮えてしまった経験のある方、多いと思います。あれは電子レンジが薄い部分から先に温まる道具だからで、あなたの失敗ではありません。

コツは「解凍モード(弱い出力)で、様子を見ながら短く刻む」ことです。100gあたり1分くらいから始めて、途中で一度裏返してください。角や薄い端がやわらかくなってきたら、真ん中が凍っていてもそこでストップ。あとはフライパンの上で火を通せばいいんです。全部レンジで戻そうとするから煮えるので、レンジの仕事は「包丁が入るところまで」と割り切りましょう。

なお、薄切り・こま切れ・ひき肉は、炒め物やそぼろなら凍ったまま調理に入れる場合もあります。弱めの火でほぐしながら、最後に中まで火を通してください。

私も以前、鶏むね肉をレンジで解凍して、ステーキにしようと焼いたことがあります。表面はいい色に焼けたのですが、念のため切ってみたら、中はまだ火が通っていませんでした。そのまま焼き直してことなきを得ましたが、それ以来「切って断面を確かめる」だけは欠かさないようにしています。半解凍から調理する日は、あなたもここだけは省かないでくださいね。

なぜ「低温でゆっくり」がおいしいのか

早見表の上にいくほど(時間をかけるほど)おいしく戻る理由は、赤い汁にあります。

解凍したお肉のトレーにたまる赤い汁、見たことありますよね。あれはドリップといって、お肉のうまみと水分そのものです。急いで高い温度で戻すほど、この汁がたくさん流れ出てしまいます。

売場で毎日お肉を見ていると、この差ははっきり分かります。汁がたくさん出たお肉は、焼いてもパサつきやすく、縮みも大きいんです。冷蔵庫でゆっくり戻したお肉は汁がほとんど出ず、焼き上がりがふっくらします。

ちなみに、同じ鶏むね肉でも出やすさに差があって、身が大きくてツヤのあるものほどドリップが出やすい、というのが売場での実感です。反対に、身が大きくてもツヤがそこまでないお肉は、ドリップが少ない印象があります。

だから今日の逆引きは「忘れた日の逃げ道」で、ベストは前日に冷蔵庫へ移しておくことです。ここは覚えておいてください。

やってはいけない解凍(理由つき)

急いでいるときほどやりたくなる方法が2つありますが、これだけは避けてください。

  • 常温に置きっぱなし: 部屋の温度は、雑菌がいちばん増えやすい温度帯です。表面が先に戻って、中が凍っている間ずっとその温度帯にいることになります
  • お湯・ぬるま湯につける: 早そうに見えますが理屈は同じで、表面だけが雑菌の増えやすい温度になります。おまけに表面が煮えてうまみも流れます

「氷水や流水も水につけるのに、なぜいいの?」と思いますよね。冷たい水は雑菌が増えにくい温度のまま解凍できるからです。水の冷たさが、時短と安全を両立してくれています。

もし今日すでに常温に出してしまっていたら、短時間なら慌てなくて大丈夫です。すぐ調理に入って、中まで火を通してください。生のまま冷蔵庫に戻して翌日に持ち越すのはやめましょう。

冷凍するときの一手間で、次の解凍が楽になる

最後に、そもそも解凍を楽にする仕込みの話です。凍らせる前のひと工夫で、忘れた日のダメージがぐっと減ります。

  • 薄く平らにして冷凍する: ひき肉や薄切りは、フリーザーバッグに入れて手で平らにのばしてから凍らせる。厚み1cmの板状なら、流水で10分くらいから使えるようになります
  • 1回分ずつ小分けにする: 大きな塊のまま凍らせると、戻すのに時間がかかり、使わない分まで解凍することになります
  • 下味をつけて冷凍する: 焼肉のたれや塩こうじをもみ込んでから冷凍すると、半解凍のままフライパンに入れるだけで一品になります
バットに薄く広げて並べた豚の薄切り肉
薄く広げておくと、戻すのも使うのも早くなります(写真: KWON JUNHO / Unsplash)

フリーザーバッグは、特別なものを探さなくて大丈夫です。うちで使っているのはスーパーで買える定番の「ジップロック フリーザーバッグ M」で、フィルムが厚手なので、氷水に沈めても袋が破れて水を吸う心配が少ないのが気に入っています。お肉の保存グッズの記事でも紹介した、迷ったらこれで十分の1枚です。

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ちなみに、まとめ買いでお得に買う考え方はスーパーでお肉を安く買うコツ。半額シールより「100gあたり」を見てくださいにまとめています。安く買った分をきちんと使い切るには、この冷凍の一手間がセットです。

小分けのやり方や下味冷凍のレシピは、それだけで1本書ける話なので、あらためて別の記事で紹介しますね。

まとめ

今日のポイントをおさらいします。

  • 解凍は方法の知識より「残り時間から1つ選ぶ」こと。1時間なら氷水、30分なら流水、それ以下ならレンジの解凍モード+半解凍で加熱
  • 急ぐ日は完全解凍を目指さない。半解凍で調理に入り、中までの火通りだけ切って確かめる
  • 常温放置とお湯だけは避ける。雑菌の増えやすい温度帯にお肉を置かないため

解凍し忘れは、誰にでもある失敗です。逃げ道さえ知っていれば、忘れた日の夕飯もちゃんとおいしくできます。

まずは今夜、明日使う分のお肉を冷凍庫から冷蔵庫の下段へ移しておいてください。私はこの「前日に移す」を夕飯の片付けとセットにしていて、食べ終えて食器を洗い始める前に冷蔵庫へ入れます。夕飯前でもいいのですが、後のほうが洗い物とまとめて動けて、段取りがいいんです。これが今日の記事の、いちばんの時短ですよ。

じつは解凍で苦労するかどうかは、冷凍する時点の扱いでほぼ決まっています。買ってきた「最初の10分」でやる保存の3ステップを押さえておくと、そもそも解凍の日がラクになりますよ。

アイキャッチ写真: Toxic Smoker / Unsplash

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