お肉売場からこんにちは。精肉部門の中の人です。
「お肉、また高くなったなあ。安く買いたいけど、どのパックが本当にお得なのか分からない。結局いつも半額シールを探してウロウロしてる」
そんな経験はありませんか?
結論から言うと、シールを待たなくても、お肉は毎日の買い物で安く買えます。見るのは値札の中のたった一か所、「100gあたり◯円」という小さな数字。パックの値段ではなく、100gあたりの値段でそろえて比べる。これだけで、特売の日でなくても損をしなくなります。
毎日売場でお客様を見ていますが、この数字を見て選ぶ方は本当に少ないです。ほとんどの方は、パックの大きさと総額だけを見てカゴに入れています。もったいないなあ、といつも思っています。
半額シールを待つ節約は、じつは運まかせ
値引きシールを狙う買い物は、たしかに安く買えます。ただ、欲しいお肉が値引きされているとは限りませんし、そもそも売り切れていることもあります。狙って行っても空振りする、運まかせの節約です。
一方、「100gあたりの値段」はいつでも値札に書いてあります。運に関係なく、毎回使えます。
ここで、値札の見方を整理しておきましょう。スーパーのお肉の値札には、だいたい3つの数字が並んでいます。
- 100gあたりの値段(例: 100g当り 128円)
- 内容量(例: 342g)
- 税込価格(例: 472円)
このうち「どれだけお得か」を教えてくれるのは、100gあたりの値段だけです。税込価格は「今日いくら払うか」、100gあたりは「このお肉が高いか安いか」。役割がまったく違う数字なんです。
お財布と相談するときは税込価格、お肉を選ぶときは100gあたり。この読み分けが、今日いちばんお伝えしたいことです。
100gあたりの単価は、多くのお店で、総額の左隣に小さく書かれています。総額より文字が小さいので、よく見ないと見つけにくい場所です。売場でよくあるのが、通常の豚ロースとブランド豚の豚ロース、2つのパックを見比べているお客様。総額はそこまで変わらないのに、100gあたりではブランド豚のほうが高いことが多いんです。そんなときは私からお声がけして、100gあたりの単価の違いをご説明しています。
「総額が安い=得」とは限らない。スーパーで安く買う基本動作
売場で見ていると、多くのお客様は総額の安いパックを「安い」と感じて選んでいます。でも100gあたりに直すと、逆のことがよくあるんです。
たとえば、同じ豚こまでこんな2パックが並んでいたとします。
- 小さいパック: 200gで358円(100gあたり179円)
- 大きいパック: 400gで596円(100gあたり149円)
総額だけ見れば358円のほうが安い。でも100gあたりで比べると、大きいパックのほうが1割半ほど安い計算です。少量パックは、トレーやラップ、値付けの手間が同じだけかかるぶん、どうしても割高になりやすいのです。

では、棚の前に立ったら、この順番で見てください。
1つ目、まず「100gあたり」の数字だけを見る。 パックの大きさは無視して構いません。同じ種類のお肉なら、この数字が小さいものが安いお肉です。
2つ目、100gあたりが書いていなければ、自分で割り算する。 グラム売りではなく「1パック◯円」のまとまり売りだと、単価が書かれていないことがあります。そのときは「税込価格÷内容量×100」。たとえば500gで690円なら、690÷500×100で100gあたり138円です。暗算がむずかしければ、スマホの電卓で10秒です。
3つ目、使い切れるかどうかを最後に確認する。 100gあたりが安くても、大きすぎて使い切れないなら意味がありません。ここで初めて税込価格の出番です。
パックの見た目の大きさは、あてになりません。トレーの深さや盛り付け方で、同じ重さでも大きく見えたり小さく見えたりします。見た目ではなく、ラベルの数字。これが基本動作です。
一歩上の見方。「実際に食べられる量」で考えると、本当のお得が見える
100gあたりで比べられるようになったら、もう一歩だけ進みましょう。ここからは、売場の人間だからこそお伝えしたい視点です。
それは、「買った重さ」と「食べられる重さ」は同じではないということ。
分かりやすい例が、骨つきの鶏肉です。手羽元や骨つきもも肉は、100gあたりの単価がぐっと安く見えます。でも重さには骨も含まれていて、骨の分は食べられません。体感では、骨つきは3割前後が骨です。100gあたり78円の手羽元は、食べられる部分だけで考えると100円を超えるくらい、と思っておくと実感に近いです。
脂も同じです。牛バラや豚バラの脂が厚いパックは、焼くと脂が溶け出して、お皿に残るお肉は見た目より少なくなります。脂のうまみが欲しい料理なら大歓迎ですが、「量を食べたい」日には実質的な単価が上がる買い物です。どの部位にどれくらい脂がついているかは、牛肉の部位使い分けの記事でくわしくお話ししています。
もうひとつが、パックの底にたまる赤い汁(ドリップといいます)。ドリップはお肉から出てしまった水分で、出た分だけうまみも逃げています。血ではないので気味悪がる必要はありませんが、たっぷりたまったパックは、表示の重さのうち食べられる部分が少し目減りしていると考えてください。選べるなら汁の少ないパックが得です。

反対に、「単価が安いうえに、ほぼ全部食べられる」優等生もいます。鶏むね肉、豚こま、牛切り落とし。この3つは骨がなく、余分な脂も少なく、表示の重さがほぼそのまま食べられる重さです。売場で長く見てきて、「安いのに満足感が高い」と自信を持って言えるお肉たちです。まずはこのあたりを軸に献立を組むと、無理なく食費が下がります。
売場でも、ドリップにはすごく気を遣います。ドリップが出ているお肉は、お客様に選ばれにくいんです。特売品でも広告の商品でも、出ているだけで避けられがちです。私の実感では、豚モモ肉・鶏もも・鶏むね・ささみが出やすいお肉。手に取るときは、パックの底をちらっと見てみてください。ドリップ以外の見分け方は、スーパーの「当たりのお肉」の見分け方にまとめてあります。
まとめ
今日のポイントをおさらいします。
- お肉選びは税込価格ではなく「100gあたり◯円」で比べる。書いていなければ、価格÷内容量×100で自分で出す
- 総額が安い小さいパックほど、単価は割高になりやすい
- 骨・厚い脂・ドリップの分だけ「実際に食べられる量」は減る。迷ったら鶏むね・豚こま・牛切り落とし
値札の見方がひとつ変わるだけで、半額シールを追いかけなくても、いつもの買い物が少しずつ軽くなります。浮いたお金で、たまにはちょっといいお肉を。それがいちばん食卓が豊かになる使い方だと、私は思っています。
なお、単価の安い大きなパックを買ったら、小分けにして冷凍しておくのがおすすめです。まとめ買いは「安く買って、おいしく使い切る」までがセット。冷凍したお肉をおいしく戻すコツは、お肉の解凍、忘れた日でも間に合います。残り時間で選ぶ解凍のしかたでじっくりお話ししています。
まずは次の買い物で、いつも買っているお肉の値札の「100gあたり」を一度見てみてください。それだけで、今日から見える景色が変わりますよ。
単価で選ぶなら、牛肉は切り落としが本命です。ただしパックごとの当たり外れが大きいので、切り落とし選びで見る3か所を知っておくと、安さとおいしさを両取りできますよ。
写真: heejin chang(Unsplash)


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