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お肉売場からこんにちは。精肉部門の中の人です。
「ふるさと納税で牛切り落とし1kgを頼んだら、脂身ばっかりだった」「炒めたらゴムみたいに硬くて、家族の箸が止まった」
そんな経験、ありませんか?
じつはあれ、届いてから頑張っても手遅れで、勝負は注文ボタンを押す前についています。
私は毎日売場で切り落としをパックしていますが、切り落としほど、同じ名前なのに中身の幅が広い商品はありません。だからこそ、商品ページやパックのどこを見るかで結果が変わります。
先に結論だけ言うと、見るのは「部位の表示」「白い部分の形」「スライスの厚み」の3か所です。この3つが読めれば、写真がどれだけキラキラしていても中身の見当がつきます。
切り落としの当たり外れは「部位が書いてあるか」でほぼ決まる
切り落としというのは部位の名前ではありません。かたまりのお肉をスライスするときに出る、形の不揃いな部分をまとめた商品名です。だから「牛切り落とし」とだけ書いてあるパックには、モモが入っていることもあれば、バラやスネに近い部分が入っていることもあります。
売場で毎日見ている実感で言うと、切り落としの味と硬さは、切る人の腕ではなく「元がどの部位か」でほぼ決まります。モモの切り落としは赤身が多くてあっさり、バラの切り落としは脂が多くて濃厚、肩(ウデ)の切り落としは筋が混ざりやすい代わりに味が濃い。同じ「切り落とし1kg」でも、中身は別の商品と言っていいくらい違います。
ここで大事なのは、部位を書いてある商品は中身に自信がある、ということです。「牛モモ切り落とし」「牛肩バラ切り落とし」のように部位まで書くと、その部位以外は入れられません。逆に「牛切り落とし」とだけ書いてあれば、そのとき余っているいろいろな部分を合わせられます。
だから選び方の第一歩はシンプルです。商品名か表示ラベルに部位が書いてあるものを選ぶ。これだけで「開けてみたら何のお肉か分からない」という一番大きなハズレを避けられます。
部位なしの切り落としが悪いお肉というわけではないので、そこは安心してください。いろいろな部位が混ざるぶん価格は抑えめで、味も一枚ごとに変化があります。ただ「何が届くか読めない」商品なので、ふるさと納税のように現物を見ずに1kg頼む買い方とは相性がよくない、というだけの話です。
売場で見ていると、切り落としになる部分は本当にさまざまです。スライサーにかけて最後に残った、形の崩れた部分。焼肉やステーキに商品化するとき、形を整えるために削った部分。反対に、焼肉やステーキ、すき焼き用のスライスには使えない、肉質の硬い部分。そういうものが集まって「切り落とし」になります。
買う前に見る3か所。写真と表示はここまで教えてくれる
ここからは、商品ページやパックを目の前にした前提で進めます。スーパーの棚でもネットの商品写真でも、見る場所は同じ3か所です。

1か所目: 部位の表示を探す
まず商品名と表示ラベルを見てください。「モモ」「バラ」「肩」「肩ロース」のどれかが書いてあれば合格です。ネット通販なら商品説明の下のほうまでスクロールして、部位の記載を探してください。写真の下の説明文に「モモ・バラ等」と複数書いてある場合は、部位なしと同じ「混合タイプ」だと思って読むのが安全です。
2か所目: 白い部分が「脂」か「筋」かを見分ける
商品写真の白い部分、ぜんぶ脂だと思っていませんか。じつはここには脂と筋の2種類があって、口に入れたときの運命が分かれます。
見分け方は形です。ふわっと面で広がっている白は脂、赤身との境目に細い線ですーっと走っている白は筋です。脂は加熱すれば溶けてうまみになりますが、筋は焼いても煮ても短時間では柔らかくなりません。「炒めたらゴムみたい」の正体は、たいていこの線のほうの白です。
写真を1枚ずつ拡大して、赤身の中に白い線が何本も走っていないかを見てください。線が目立つ写真しか載っていない商品は、炒め物用としては見送りが無難です。ただし筋は悪者ではありません。煮込めばゼラチンに変わって、とろとろのごちそうになります。筋が多そうなお肉は「煮込み向き」と読み替えればいいだけです。
3か所目: スライスの厚みを見る
最後は厚みです。切り落としには2〜3ミリの薄切りタイプと、5ミリ以上ある厚めのタイプがあります。写真で見分けるなら、お肉がひらひらと折り重なっていれば薄め、一枚一枚がごろっと立体的なら厚めです。商品説明に「厚さ約◯mm」と書いてあれば、そこが一番確実です。
厚みが大事な理由は、火の通り方が変わるからです。薄いお肉はさっと火が通るので、炒め物でも柔らかいまま仕上がります。厚いお肉は同じ時間炒めても中まで火が入りきらず、通しきるころには表面が硬くなっています。「同じ切り落としなのに前より硬い」と感じたときは、部位ではなく厚みが変わっただけ、ということもよくあります。
ここで、売場の実感をひとつ。すき焼き用・炒め物用・しゃぶしゃぶ用は、じつは厚みが違うだけで、同じお肉から作れます。厚い順に、すき焼き用、炒め物用、しゃぶしゃぶ用。スライサーにかけるとき、私はこれを1ミリ単位で設定を変えています。たった1ミリでも食感は大きく変わります。焼肉とステーキを比べると、ステーキのほうが食べ応えがありますよね。あれと同じことが、1ミリの差でも起きるのです。
使い道別・どの1kgを選ぶか
3か所の見方が分かったら、あとは自分の使い道に当てはめるだけです。逆に言うと、使い道を決めずに「安いから」で1kgを選ぶと、冷凍庫で持て余します。

炒め物・野菜炒めが中心なら、モモか肩の薄切りを選んでください。赤身が多くて筋の線が少ない写真のものが合格です。脂が少ないぶん、強火で手早く仕上げると柔らかさが残ります。
すき焼きやしゃぶしゃぶ風に使うなら、肩ロースかバラです。白い部分が面でふわっと広がっている、脂多めの写真を選んでください。煮汁や湯にくぐらせる料理は脂がうまみになるので、赤身一辺倒より満足度が上がります。厚みは料理で選び分けてください。すき焼きなら少し厚めのもの、しゃぶしゃぶ風ならいちばん薄いものが向きます。
煮込み・カレー・肉じゃがなら、部位なしの混合タイプでも大丈夫です。筋の線が目立つ写真でも、20分以上煮る料理なら弱点が長所に変わります。価格重視で選べる唯一のカテゴリーなので、節約したい月はここを狙うのが賢い買い方です。
ふるさと納税で頼むときは、この使い道を先に1つ決めてから返礼品を検索してください。返礼品全体の選び方はふるさと納税のお肉、失敗しない選び方にまとめているので、そちらもあわせて読んでみてください。「牛切り落とし1kg」で並んだ候補も、部位・白い部分・厚みの3か所で見比べれば、写真の派手さに惑わされずに絞り込めます。
「部位が書いてある」返礼品を、実際に見てみる
言葉だけだと分かりにくいので、実例を2つ挙げます。どちらも部位が書いてあるタイプです。
1つ目は、使っている部位を全部書き出しているタイプ。「外モモ・ウデ・マル・バラ・モモ・ブリスケ・ロース」と並んでいます。混合ではありますが、何が入るのかが読める形です。
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2つ目は、部位を1つに絞ったタイプ。「バラ」と書いてあるので、脂が多めなのが最初から分かります。すき焼きや牛丼のように、脂がうまみになる料理に向いています。
ほかのポータルからも探せます。同じ「切り落とし1kg」でも、部位の書き方がずいぶん違うことに気づくはずです。
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それでも硬かったら。届いたあとの手当ては2つだけ
ここまでの選び方でハズレはかなり減りますが、写真と実物の差はゼロにはなりません。硬めのお肉が届いてしまったときの手当てを、短く2つだけ置いておきます。
1つ目は、繊維を断つ方向に包丁を入れること。お肉の表面をよく見ると、細い筋目が一方向に走っています。その筋目に対して直角に、2〜3センチ幅で切り分けてから炒めると、噛み切りやすさが目に見えて変わります。
2つ目は、炒めるのをやめて煮込みに回すこと。硬い切り落としは筋の多い部分である可能性が高く、それは煮込みの適性が高いという意味でもあります。無理に炒め物で消費せず、カレーや肉豆腐に役割を変えてあげてください。
手当てはこの2つで十分です。下ごしらえの細かい技はいろいろありますが、この記事の主役はあくまで「買う前」。届いてから頑張る回数を減らすのが、いちばんの時短です。
ちなみに私がよくやるのは、1つ目の「繊維を断つ方向に包丁を入れる」ほうです。手間はほとんどかからないのに、食感が本当に変わります。
まとめ
今日のポイントをおさらいします。
- 切り落としは部位名ではないので、部位が書いてある商品を選ぶのが第一歩
- 写真の白い部分は、面で広がる「脂」と線で走る「筋」を見分ける
- 厚みで火の通りが変わる。同じお肉でも1ミリの差で食感が変わる
切り落とし1kgは、選び方さえ分かれば家計の強い味方です。炒め物にも煮込みにも化ける懐の深さは、他のお肉にはありません。
まずは次にネットでお肉を探すとき、商品名に部位が入っているかだけ確認してみてください。それだけで、届いたときのがっかりが1つ減ります。
切り落とし選びの目をもう一段鍛えたい方は、あわせてこちらもどうぞ。
- ふるさと納税のお肉、失敗しない選び方。プロが見る4か所(返礼品全体の見方)
- スーパーの牛肉、カレーに「もも」を買ってはいけない理由。部位の使い分け早見表(部位ごとの向き不向き)
- 安い牛肉が見違える焼き方。焼く前の「30分」と「筋切り」がコツ(硬いお肉の手当ての続き)


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