お肉売場からこんにちは。精肉部門の中の人です。
「同じお店で、同じ値段のお肉を買ったのに、今日はなんかおいしい」
そんな”当たりの日”と”ハズレの日”、ありませんか?
じつはあれ、気のせいではないんですよ。同じ売り場に並んでいるお肉にも、ちゃんと差があります。そして毎日売り場でお肉を見ている側からすると、その差はパックの外から見分けられるサインとして、はっきり出ているんです。だから大丈夫。今日から、あなたも当たりを選べるようになります。
このブログ「ニクラボ」では、毎日お店の中からお肉を見ている立場だからこそお伝えできる、「いつもの晩ごはんが、ちょっとごちそうになる」お肉えらびのコツを紹介していきます。
1本目の今回は、そのいちばん基本になる「当たりのお肉の見分け方」です。難しい知識はいりません。今日の買い物からすぐ使える内容だけに絞ってお届けするので、肩の力を抜いて読んでくださいね。
先に結論だけいうと、見るのは「色・ドリップ・脂」の3つだけです。
なぜ同じ売り場でも、お肉に”差”が出るのか
「同じ商品なんだから、どのパックも同じでしょ?」と思いますよね。でも売り場の裏側では、こんなことが毎日起きているんです。
入荷のタイミングが違う。精肉売り場の商品は、一度に全部並ぶわけではありません。朝イチにカットしたもの、昼に追加したもの、前日の在庫から並べ直したもの。同じ棚の中に、”生まれた時間”の違うお肉が同居していることは、ふつうにあります。
カットした人と状態が違う。お肉は工業製品ではなく、一頭一頭違う生きものから取れる食材です。同じ「豚ロース」でも、個体によって脂の入り方も色も違いますし、切る部分が端に近いか真ん中かでも状態は変わります。
陳列されてからの時間が違う。パックされたお肉は、時間が経つほど中の水分(後で説明する「ドリップ」)が出やすくなります。棚の手前と奥、上の段と下の段で、並べられたタイミングが違うこともよくあります。
つまり、同じ値札の下に並んでいても、中身は一つひとつ別ものなんです。だからこそ、「どのパックを取るか」で晩ごはんの満足度が変わってきます。でも心配いりません。逆にいえば、見るポイントさえ知っていれば、誰でも”当たり”を引きにいけるということですから。
お肉えらびの基本3ポイント(どの部位でも共通)
まずは、牛・豚・鶏、どのお肉にも共通する基本の3ポイントから。この3つだけ覚えて帰ってもらえれば、今日からお肉えらびが変わりますよ。
① 色:鮮やかさより「その肉らしい色」を見る
- 牛肉:明るい赤色〜鮮紅色を選んでください。黒ずんで茶色っぽくなっているものは、時間が経っているサインです。ただ、切りたての牛肉が少し暗い色(あずき色っぽい)ことがありますが、これは心配いりません。まだ空気に触れていないだけなので、安心して選んで大丈夫です。
- 豚肉:淡いピンク色でツヤがあるものを。白っぽすぎたり、灰色がかっているものは避けてください。淡いピンクのものを選べば、まず失敗しません。
- 鶏肉:ピンクがかった肌色で、皮に張りとツヤがあるものが元気なサインです。全体的に白く濁った印象のものは鮮度が落ちているので、そこだけ気をつけてくださいね。
ポイントは「赤ければいい」わけではなく、その肉本来の色に近いか、ツヤがあるかを見ることです。
② ドリップ:パックの底の”汁”は少ないほど良い
ドリップとは、パックの底にたまっている赤い汁のこと。お肉の中の水分と旨み成分が、時間の経過や温度変化で外に流れ出たものです。
これが多いパックは、それだけ旨みが外に逃げてしまっているということ。加熱したときにパサつきやすくもなります。棚の前に立ったら、パックを少し傾けて、底に汁がたまっていないかを見てください。吸水シートが敷いてある場合は、シートが赤く染まりきっていないかを見ればOKです。染まっていなければ、そのままカゴへ入れて大丈夫ですよ。
3ポイントの中で、いちばん手軽で、いちばん差が出るのがこのドリップです。迷ったら「汁の少ないほう」。これだけでも当たり率はぐっと上がります。
③ 脂:白さと境目のくっきり感を見る
脂身の色は、白〜乳白色でツヤがあるものを選んでください。黄色っぽくくすんでいたり、赤身との境目がぼやけてにじんでいるものは、鮮度が落ちてきているサインです。白くてツヤのある脂を選べば安心なので、そこだけ見てあげてください。
牛肉のサシ(赤身の中の細かい脂)も同じで、白くきれいに入っているものほど状態が良いと考えてください。
部位別・今日から使える見分けポイント
基本の3つを押さえたら、次はよく買う部位ごとのチェックポイントです。売れ筋の3部位に絞って紹介しますね。
豚こま・切り落とし:色の「バラつき」を見る
棚の前に立ったら、まず赤身の色が全体でそろっているパックを探してください。豚こまはいろんな部位の切れ端を集めた商品なので、パックによって中身の構成がけっこう違います。色が濃いところと白っぽいところが混在しているものより、全体が均一な淡いピンクのもののほうが、火の通りも味も安定します。均一なものを選べば大丈夫です。
もうひとつは脂身の割合。パックの上面だけでなく、横や底からものぞいて、脂ばかりが固まって入っていないか見てください。豚こまは「安いから適当に」と選ばれがちですが、じつはパックごとの差がいちばん出やすい商品なんです。ここで当たりを引けるようになると、毎日の食卓が確実に変わりますよ。
鶏むね・もも:皮とハリで見る

鶏肉は、皮の状態が分かりやすいサインです。皮に張りとツヤがあり、毛穴がぷつぷつと立っているようなものが新鮮。皮がだらんとして白く濁っているものは時間が経っているので、そこだけ避けてあげてください。
肉の身のほうは、ふっくら厚みがあってハリのあるものを選んでください。パックの上から見て、肉がぺたっと平たく広がっているものより、こんもりと盛り上がって見えるもののほうが状態が良いことが多いです。むね肉は特にドリップが出やすい部位なので、②のドリップチェックも忘れずに。この2つを見ておけば安心です。
牛のステーキ・焼肉用:赤身と脂の「境目」を見る

ちょっといい日の牛肉こそ、失敗したくないですよね。見るべきは赤身と脂の境目がくっきりしているかです。境目がシャープなものほど新鮮なので、迷わずそちらを。ぼやけてにじんでいるものだけ避けておけば大丈夫です。
ステーキ肉なら、厚みが均一なものを選ぶと焼きムラが出にくく、家でもお店っぽく仕上がります。焼肉用は、断面がなめらかでツヤのあるものを。切り口がザラついて乾いた印象のものは、カットから時間が経っているサインなので、そこだけ見てあげてください。
なお、それぞれの部位にはもっと深い話(むね肉をしっとりさせる下ごしらえ、安い牛肉が見違える焼き方など)があるのですが、それは今後の個別記事でじっくり紹介していきます。
知っておくと得する、「買い物の時間帯」
最後に、時間帯の話を。じつは、何時に買い物に行くかでも”当たり率”は変わります。
鮮度重視なら、午前中〜お昼すぎ。多くのお店では、朝から昼にかけてその日カットした商品が売り場に並びます。「今日はいい肉を焼きたい」という日は、この時間帯が狙い目です。夕方は品ぞろえこそ豊富ですが、朝から並んでいる商品と追加された商品が混ざる時間帯でもあります。でも大丈夫。そこは今日紹介した見分けポイントの出番です。
お得さ重視なら、夕方以降の値引きタイム。閉店前の値引きシールは有名ですが、覚えておいてほしいのは、値引き品=悪い肉ではないということ。単にその日のうちに売り切りたいだけで、状態のいいものもたくさん混ざっています。だから安心してください。値引きコーナーでこそ、今日の3ポイント(色・ドリップ・脂)でしっかり選べる人が得をします。当日〜翌日に食べるか、買ってすぐ冷凍するなら、値引き品はかなり賢い選択です。
ちなみに値引きの時間帯やタイミングはお店によって違うので、よく行くお店のパターンを2〜3回観察してみると、「うちの店は◯時ごろ」というのがつかめてきますよ。
まとめ:選び方が変わると、いつもの晩ごはんが変わる
今日のポイントをおさらいします。
- 同じ売り場のお肉でも、中身は一つひとつ違う。だから「選ぶ目」が効く
- 共通の基本は3つ。色(その肉らしい色とツヤ)・ドリップ(少ないほど良い)・脂(白くて境目くっきり)
- 迷ったら、まずドリップの少ないパックを選ぶ
- 鮮度なら午前中、お得さなら夕方の値引きタイム。値引き品も選ぶ目があれば強い味方
特別な知識も、高いお肉もいりません。いつもの予算で、いつものスーパーで、ほんの少し「見る場所」を変えるだけ。それだけで、今日の晩ごはんはちょっとごちそうに近づきます。
ニクラボでは今後、部位ごとの選び方や、安いお肉がぐっとおいしくなる下ごしらえのコツなど、売り場の中からの一次情報をお届けしていきます。まずは次の買い物で、パックの底をちらっと見るところから始めてみてください。
アイキャッチ・お肉の写真: Sergey Kotenev, Cindie Hansen, Karyna Panchenko(Unsplash)

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