お肉売り場からこんにちは。精肉部門の中の人です。
「今日は唐揚げにしよう」と決めて鶏肉の棚に来たのに、手が止まる。「唐揚げ用」と書いたパックと、切っていない1枚もののもも肉が隣に並んでいて、どちらを取ればいいのか分からない。家族4人ぶんは何グラムなのか、もも肉とむね肉はどちらが正解なのか。そんな経験はありませんか。
じつは唐揚げは、揚げる腕前より、売り場で何を手に取るかで、仕上がりが大きく変わります。
先に結論だけ言うと、部位は鶏もも肉、パックは「切る時間があるなら1枚もの、ないなら唐揚げ用」、量は大人1人あたり生の状態で150〜200グラムです。この3つだけ決めて棚の前に立てば、1パックを迷わず選べます。
部位は「もも」が基本。むねを選ぶ日があってもいい
唐揚げの部位は、鶏もも肉が基本です。理由は脂と水分の量。もも肉は脂がほどよく入っていて、高い温度の油で揚げても中がパサつきにくく、冷めてもかたくなりにくい。お弁当に入れて昼に食べてもやわらかいのは、この脂のおかげです。
唐揚げ用として並ぶパックも、多くはもも肉です。私の売り場では、もも肉しか置いていません。ラベルに「若どり もも」「鶏もも 唐揚げ用」と書いてあれば、まずそれで間違いありません。
むね肉を選ぶ方も、もちろんいます。もも肉より100グラムあたりの値段が安く、脂が少なくてあっさり食べられる。「揚げ物は重いから軽めにしたい」「お財布に優しく作りたい」という日は、むね肉で正解です。ただし、むね肉は水分が抜けやすいので、切る大きさを揃えることと、揚げすぎないことがもも肉以上に大事になります。むね肉の選び方と下ごしらえは、鶏むね肉の選び方の記事にまとめてあります。
手羽元や手羽中も、骨つきの唐揚げとしておいしいお肉です。ただ、骨があるぶん火が通るまでに時間がかかり、食べるときに手も汚れます。「いつもの唐揚げ」の代わりというより、別の料理として考えてください。もも・むね・ささみの違いは、鶏もも・むね・ささみの使い分けの記事に書いています。
唐揚げ用パックと1枚もの、どっちを買う?
ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。同じ鶏もも肉でも、売り場には2つの形で並んでいます。
ひとつは「唐揚げ用」と書いた、すでに一口大に切ってあるパック。もうひとつは、1枚のもも肉をそのままパックした「1枚もの」です。どちらも中身は同じもも肉なので、どちらを買っても唐揚げは作れます。違うのは「切る手間」と「大きさを自分で決められるかどうか」の2点です。
切る時間がないなら、唐揚げ用パック
唐揚げ用パックのいいところは、帰ってきて袋を開けたらすぐ下味に入れるところです。まな板と包丁を汚さずに済むので、生の鶏肉を切ったあとの洗い物もいりません。仕事帰りに作る平日の唐揚げなら、これがいちばん楽です。
気になるのは「大きさがバラバラではないか」「割高ではないか」の2点だと思います。
大きさは、だいたい2〜3センチ角です。もとの鶏もも1枚の大きさで少し変わりますし、お店によって、日によっても違います。だからパックを手に取ったら、上から一目で見てください。大きい切れと小さい切れが混ざっているパックより、同じくらいの大きさで揃っているパックを選びます。大きさが揃っていれば揚げ時間も揃うので、小さい切れだけかたくなる失敗が減ります。
値段は、100グラムあたりの単価をラベルで見比べてください。角切りにする手間のぶん、唐揚げ用は1枚ものより上がることが多いです。それでも私の売り場で見ていると、「今日は唐揚げ」と決まっている方や、切る手間を省きたい方は、唐揚げ用をよくカゴに入れていかれます。「切る手間を少しのお金で買う」と考えれば、平日の夜には十分に元が取れる差です。100グラムあたりの値段の見方は、こちらの記事に書いています。
大きさを自分で決めたいなら、1枚もの
1枚ものの鶏もも肉は、1枚がだいたい250〜300グラム前後です。切る手間はかかりますが、そのぶん、家族の好みに合わせて大きさを決められます。お弁当用に小さめ、晩ごはん用に大きめ、と1枚のなかで切り分けることもできます。
切り方について、この記事で書くのは1つだけです。大きさを揃えてください。 目安は唐揚げ用パックと同じ2〜3センチ角。大人の親指と人差し指で作った輪より少し大きいくらいです。厚みのある部分は半分にそぎ切りにして、薄い部分は大きめに切ると、揚げ上がりが揃います。下味や揚げ方の細かい話は、レシピサイトのほうが詳しいので、この記事では深入りしません。
1枚ものは100グラムあたりの値段が唐揚げ用より安いことが多く、皮や脂の付き方も自分で選べます。皮つきが好きな家族なら皮をつけたまま、脂が気になるなら白い脂のかたまりを切り落として使えます。
パックのどこを見るか。売り場での見分け方
唐揚げ用でも1枚ものでも、パックを手に取ったら見る場所は同じです。
まず、お肉の色。鶏もも肉はうすいピンク色で、皮は白っぽいクリーム色が普通の状態です。次に、パックの底にたまった赤い汁(ドリップ)の量。汁が少ないパックのほうが、お肉から水分が抜けていない証拠なので、同じ値段なら汁の少ないほうを選んでください。少し汁が出ているくらいはよくあることなので、気にしすぎなくて大丈夫です。消費期限だけは必ず確認してください。
それから、ラベルのグラム数と100グラムあたりの値段。合計金額だけ見ると大きいパックが高く見えますが、100グラムあたりでは同じか安いことがよくあります。

量は人数で決める。大人1人150〜200グラム
唐揚げの鶏肉は、生の状態で大人1人あたり150〜200グラムが目安です。揚げると水分が抜けて軽くなりますが、衣がつくぶん皿の上では大きく見えます。よく食べる中高生や、唐揚げが主役の晩ごはんなら200グラム、お弁当や小さい子どもなら100グラム前後で考えてください。
人数ごとの目安を表にしました。売り場のパックは1枚もので250〜300グラム、唐揚げ用で300〜400グラムのものが中心なので、ラベルの重さを見て、この数字に近いものを手に取ってください。
| 人数 | お弁当・おかずの1つとして | 唐揚げが主役の日 |
|---|---|---|
| 2人 | 250〜300g(1枚) | 400g前後 |
| 3〜4人 | 500〜600g(2枚) | 700〜800g |
| 5〜6人 | 800g前後(3枚) | 1kg〜1.2kg |
「多すぎるかな」と迷ったら、多めを選んでください。唐揚げは翌日のお弁当に回せますし、余ったぶんは揚げる前の生の状態で小分けにして冷凍すれば、次の唐揚げの日にそのまま使えます。小分け冷凍のグラムの目安は、こちらの記事にまとめました。冷凍したお肉を使う日は、前の晩に冷蔵庫へ移してゆっくり解凍してください。解凍の時間の目安は、冷凍肉の解凍の記事に書いています。
運動会や行楽のお弁当用に多めに作る日の考え方は、運動会のお弁当のお肉の記事に書いています。

まとめ
今日のポイントをおさらいします。
- 部位は鶏もも肉が基本。あっさり派や節約の日はむね肉でも正解
- 切る時間がないなら唐揚げ用パック、大きさを自分で決めたいなら1枚もの
- パックは「大きさの揃い・汁の少なさ・100グラムあたりの値段」を見る
- 量は大人1人150〜200グラム。迷ったら多めを買って、生のまま小分け冷凍
唐揚げは、家族の人数と好みに合わせて1パックを選べれば、あとはいつもの揚げ方で十分おいしくできます。
次に鶏肉の棚の前に立ったら、まず「今日は切る時間があるか」を自分に聞いてみてください。あるなら1枚もの、ないなら唐揚げ用。それから人数ぶんのグラム数に近いパックを手に取って、大きさが揃っているかを一目見る。それだけで、今日の唐揚げのお肉は決まります。
アイキャッチ写真: MAK(Unsplash)


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