スーパーのステーキ肉の選び方。硬いのは焼き方ではなく、厚みが原因です

スーパーのステーキ肉の選び方。硬いのは焼き方ではなく、厚みが原因です 肉の選び方

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お肉売り場からこんにちは。精肉部門の中の人です。

「ちょっと奮発してステーキ肉を買ったのに、焼いたら硬くて、噛んでも噛んでも飲み込めなかった」

そんな経験、ありませんか?

じつはあれ、焼き方の失敗ではなく、パックを選んだ時点でほぼ決まっていたことが多いんです。

毎日売り場でステーキ肉のパックを見ていますが、同じ値段の棚の中にも「これは硬くなりにくい」というパックと「これは焼くのが難しい」というパックが混ざっています。見る場所さえ知っていれば、値段を上げなくても前者を選べます。

先に結論だけ言うと、売り場で見るのは「部位の名前」「厚み」「スジの入り方」の3か所です。順番に説明しますね。

硬いステーキの原因は、買う前と買った後に分かれます

検索すると「硬いお肉は玉ねぎに漬けると柔らかくなる」といった裏ワザがたくさん出てきます。あれ自体はウソではありません。ただ、順番が逆なんです。硬くなりやすいお肉を買ってから頑張るより、硬くなりにくいお肉を選ぶほうが先です。

ステーキが硬くなる原因を分けると、こうなります。

  • 買う前に決まっているもの: 部位、厚み、スジの量
  • 買った後に決まるもの: 焼き加減、休ませ方

焼き方でリカバリーできるのは後半だけです。スジの多い薄切りのお肉は、どんなに上手に焼いても硬さが残ります。逆に、部位と厚みが合っていれば、フライパンで普通に焼くだけでちゃんと柔らかく仕上がります。勝負の半分以上は、レジを通る前についているわけです。

だからこの記事では、漬け込みや焼き方の話はしません。売り場でパックを手に取った10秒で何を見るか。そこだけをお話しします。

売り場で見る3か所(パックを手に取ったらここを見てください)

棚の前に立ったら、値段より先にラベルを見てください。見る順番はこうです。

ステーキ肉を売り場で選ぶときに見る3か所(ラベルの部位名・横から見た厚み・太いスジの有無)を示した図解

①ラベルの「部位名」を見る

まず、パックのどこかに書いてある部位の名前を探してください。「サーロイン」「リブロース」「ヒレ」は柔らかさで選ぶなら安心の部位です。「肩ロース」はその一段下の価格帯で、味は良いのですが、真ん中あたりにスジが通っているものが混ざります。「モモ」「ランプ」は赤身が主体で、脂が少ないぶん、焼きすぎると硬さが出やすい部位です。

ここで大事なのは、硬い部位=ハズレではないということです。モモや肩ロースは、選び方と厚みが合えばちゃんとおいしく焼けます。値段もサーロインやヒレよりずっと手頃です。部位ごとの付き合い方は、このあとの章でお話しします。

②厚みを見る(1.5cm以上が目安。ただし厚ければいいわけではありません)

次に、パックを横から見て厚みを確認してください。目安は1.5cm以上です。ここまであると、焼き加減で失敗しにくくなります。逆に1cm以下は焼きすぎやすい厚みです。薄いと火が一瞬で中まで通ってしまい、ちょうどいいところで止めるのが難しい。焼きすぎたお肉は、部位に関係なく硬くなります。

ただし、厚ければ厚いほどいいわけでもありません。ご家庭のフライパンだと、厚すぎるお肉は中まで火が入る前に外側が焦げてしまいます。お店の分厚いステーキは、専用の火力とオーブンがあってこそ成立しているんです。

だから、同じ値段で「小さくて分厚い1枚」と「大きめで1.5cmくらいの1枚」が並んでいたら、私は大きめのほうをおすすめします。フライパンで焼きやすいうえに、食べたときの満足感が違います。小さい1枚は、どうしても「奮発したのにこれだけか」となりがちですから。せっかくのステーキです。満足感も選ぶ基準に入れてください。

薄切りしかない日もありますよね。その場合は無理にステーキにせず、炒め物や焼肉に回すのがおすすめです。薄いお肉が悪いのではなく、ステーキという焼き方に向いていないだけなので、安心してください。

③赤身とサシのバランスと、スジの入り方を見る

最後に、お肉の表面を見ます。ここでよくある誤解がひとつ。サシ(白い霜降り)が多い=柔らかくておいしい、とは限りません。 A5・A4といった等級も、味の順位ではなくサシの量の指標です。くわしくはA5・A4の等級の記事に書いたので、あとで読んでみてください。

見てほしいのはサシの量ではなく、太く白いスジが真ん中を横切っていないかです。細かい霜降りは焼けば溶けますが、太いスジは焼いても硬いまま残り、噛み切れない原因になります。同じ部位・同じ値段の棚でも、スジの入り方は1枚ずつ違います。パックを2〜3枚見比べて、赤身の面積が広く、太いスジが目立たない1枚を選んでください。これは値段を1円も上げずにできる、いちばん確実なひと手間です。

予算を上げない部位の選び方

「結局サーロインを買えってことでしょ」と思われたかもしれませんが、そうではありません。部位ごとの性格を知っていれば、手頃な部位で十分ステーキは成立します。

考え方はシンプルで、手頃な部位ほど、厚みとスジのチェックを丁寧にする、ということです。サーロインやヒレは多少選び方が雑でも柔らかく仕上がる、保険つきのお肉。いっぽう肩ロースやモモは保険がないぶん安いので、先ほどの3か所チェックで当たりの1枚を自分で引く必要があります。逆に言えば、チェックさえすれば差額はそのまま浮くわけです。

ステーキ用の牛肉の部位を「保険つきの部位」と「自分で当てる部位」に分けた図解

赤身の部位を選んだときは、焼き方だけでなく「切り方」でも柔らかさが変わることも覚えておいてください。お肉は繊維の向きに対して直角に切ると、同じお肉でも噛み切りやすくなります。この話は繊維の向きで柔らかさが変わる記事でくわしく書いています。

売り場で「ステーキ用でおすすめは?」と聞かれたとき、私がよく案内するのはランプの一部であるラムシンと、イチボです。どちらもモモに近い場所にある赤身寄りの部位で、サーロインほどの値段はしません。

ラムシンは1枚が小さめですが、とにかく柔らかい。「ステーキを食べた!」という満足感がしっかり残ります。イチボはお肉そのものに旨みがほどよくあって、個人的にはこれがいちばんおいしく食べられると思っています。

どちらも「霜降りではないけれど硬くない」部位です。この記事で言いたいことを、そのまま体現してくれています。売り場で見かけたら、ぜひ一度手に取ってみてください。

まとめ:次の買い物で、パックを2枚見比べてみてください

今日のポイントをおさらいします。

  • 硬いステーキの原因の半分以上は、買う前の「部位・厚み・スジ」で決まっている
  • 売り場ではラベルの部位名、横から見た厚み、太いスジの有無の3か所を見る
  • 手頃な部位ほど丁寧に選ぶ。チェックすれば予算を上げなくても柔らかく焼ける

裏ワザで挽回するステーキから、選んだ時点で勝っているステーキへ。それだけで、いつもの晩ごはんの一皿がちょっと豊かになります。

まずは次の買い物で、同じ棚のパックを2枚だけ見比べてみてください。厚みとスジの違いが、今日から見えるようになっているはずです。

ステーキはハードルが高いなという日は、切り落としから始めるのもおすすめです。選び方は牛肉の切り落としの記事にまとめています。

どうしても外したくない日は、専門店に頼る

普段はスーパーで、部位と厚みとスジを見て選ぶ。その力がつけば、手頃なお肉でも柔らかいステーキは焼けます。ただ、記念日や人を招く日のように「今日だけは外したくない」ときは、専門店に頼るのもひとつの手です。焼肉店が自分のところのお肉を通販している例もあって、たとえば焼肉のやまなか家の通販がそのひとつです。選ぶ目はいつもと同じでかまいません。部位と厚みがはっきり書いてあるものを選び、当日ではなく余裕をもって注文しておくと安心です。

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