豚こまの「当たりパック」は3秒でわかる。精肉のプロの見分け方

サシと赤身がきれいな薄切り豚肉 肉の選び方

お肉売場からこんにちは。精肉部門の中の人です。

「豚こまって、同じお店で同じ値段なのに、脂ばっかりの日と赤身ばっかりの日がある」

そんな経験、ありませんか?

じつはあれ、運ではないんです。豚こま切れは、売り場に並ぶ商品の中でもパックごとの中身の差がいちばん大きい商品です。でも安心してください。差が大きいということは、選ぶ目さえあれば確実に得できるということでもあります。

豚こまは加工場で毎日パック詰めしている商品で、正直に言うと、詰めている側からは「これは当たり」「これは使いにくそう」という差がはっきり見えています。

先に結論だけ言うと、見るのは「色のそろい・切れ端の大きさ・脂の入り方」の3つ。そしてもうひとつ大事なのが、作る料理によって“当たり”は変わるということです。

なぜ豚こまは当たり外れが激しいのか

理由はシンプルで、豚こまが「部位の名前がない商品」だからです。

ロースやもも、肩ロース、バラといったお肉を商品の形に切り分けると、どうしても形の不ぞろいな切れ端が出ます。それを集めてパックにしたのが豚こま切れです。つまり同じ「豚こま」という名前でも、ロースの端が多いパックはあっさり、バラの端が多いパックは脂が多くてコクがある、というように中身はほとんど別の商品なんです。

だから当たり外れは気のせいではなく、部位の構成の違いです。でも心配いりません。逆に言えば、パックの外から中身の構成を読めるようになれば、狙って当たりを引けるということですから。

同じ豚こまのパックでも、「このパックは切りはじめの部分だな」など、見た目で判断できるポイントがあります。お肉1枚あたりの大きさが極端に小さい場合は、それは切りはじめだったりします。私は普段の作業でパック詰めをするとき、切りはじめの小さなお肉が1つのパックに集中しないように、複数のパックに分散させています。

当たりパックを見分ける3つのポイント

どれも棚の前で3秒あればできるチェックです。順番に見ていきましょう。

1. 赤身の色がそろっているか

棚の前に立ったら、濃い赤と白っぽいピンクが1パックに混在しているものより、全体が淡いピンクでそろっているパックを選んでください。色がそろっている=近い部位でまとまっているサインで、火の通りも味も安定します。全体が淡いピンクなら、迷わずカゴへ入れて大丈夫です。色の見方の基本は1本目の記事に書きましたが、部位ミックスの豚こまでは特に効きます。

全体が淡いピンク色でそろった薄切り豚肉のトレイ
手前のトレイのように、全体が淡いピンクでそろっているのが“当たり”のサイン(写真: heejin chang / Unsplash)

2. 切れ端の大きさと厚みがそろっているか

大きな塊と細かい切れ端が混在したパックは、炒めたときに火の通りがバラつきます。細かい切れ端は先に火が通りすぎて硬くなり、塊は生焼けが心配になって全体を加熱しすぎる。でも大丈夫。同じくらいの大きさ・厚みでそろったパックを選べば、この失敗はなくなります。

パックは上の面だけでなく、横と底からものぞいてください。上面だけでは中身の全部は見えません。

トレイに並んだ薄切り豚肉。切れ端の大きさと厚みに差がある

3. 脂身は「量」より「入り方」を見る

脂が多い=ハズレ、ではありません。見るポイントは入り方です。切れ端の周りに白い脂のかたまりがべったり付いているものは、加熱すると溶けて縮み、食べられる量が減ります。赤身の中に細かく入っている脂なら、加熱してもコクとして残るので、こちらは安心して選んで大丈夫です。

脂の色もヒントです。真っ白でツヤのある脂は新鮮。黄色っぽくくすんでいるものは時間が経っているので、そこだけ見てあげてください。あわせて、パック底のドリップ(赤い汁)が少ないことも確認しておくと安心です。

白いトレイの薄切り豚肉のアップ。赤身と白い脂のコントラストがわかる

作る料理で「当たり」は変わる

ここが豚こまの面白いところで、正解は1つではありません。同じパックでも、作る料理によって当たりにもハズレにもなります。

  • 野菜炒め・チャーハン: 薄くて小さめの切れ端がそろったパック。さっと火が通る
  • カレー・豚汁: 厚みのある切れ端が多いパック。脂多めでも煮込めばコクになる
  • しょうが焼き・豚丼: 大きめの切れ端がそろったパック。お肉が主役になれる

つまり「脂が多いパック」は野菜炒めの日にはハズレでも、豚汁の日には当たりです。今夜のメニューを思い浮かべてから売り場に立つと、選ぶパックが変わってきますよ。

ちなみにロース・バラ・肩ロースといった部位そのものの使い分けは、それだけで1本書けるテーマなので、また別の記事でじっくり書きます。

中の人だから言いたい。豚こまは「安かろう悪かろう」ではない

最後にひとつ、売り場の人間として伝えたいことがあります。豚こまが安いのは、品質が低いからではありません。形が不ぞろいなだけです。

もとをたどれば、ロースやバラを商品に切り分けたときに出る端の部分。つまり中身は、隣に並んでいる正規の部位と同じお肉です。形がそろっていないぶん安くなっているだけなので、見分け方さえ知っていれば、豚こまは売り場でいちばんコスパのいいお肉だと思っています。安いからと引け目に感じる必要は、まったくありませんよ。

私の働くスーパーでは、豚こまは広告の品になることが多いです。やはりお客様は1パック当たりの価格を重視して選ばれることが多いと、普段品出しをしていてよく感じます。価格も大切ですが、より良いお買い物にするなら、パックの中身にも少し意識を向けてみてください。それだけで、食卓の満足度がぐっと上がります。

まとめ

今日のポイントをおさらいします。

  • 豚こまは部位の切れ端ミックスだから、パックごとの差が大きい。「色のそろい・大きさのそろい・脂の入り方」の3点で見る
  • 作る料理で当たりは変わる。炒め物なら薄く小さく、煮込みなら厚め・脂多めもあり
  • 豚こまは形が不ぞろいなだけで、中身は正規の部位と同じ。見分ければいちばんコスパのいいお肉

いつもの豚こまで作るいつものおかずが、パック選びひとつでちょっとおいしくなる。それだけで今日の晩ごはんは、ちょっとごちそうになります。

まずは次の買い物で、豚こまパックを2つ並べて、色を見比べてみてください。

(関連記事:スーパーの“当たりのお肉”の見分け方。精肉部門の中の人が教える選び方のコツ3つ精肉のプロは鶏むね肉をこう選ぶ。しっとり仕上げる下ごしらえ付き

アイキャッチ・お肉の写真: Lee Milo, KWON JUNHO, MChe Lee, heejin chang(Unsplash)

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