運動会のお弁当のお肉、冷めても硬くならない部位はこれです。売場で見るのは3か所だけ

運動会のお弁当のお肉、冷めても硬くならない部位はこれです。売場で見るのは3か所だけ 肉の選び方

お肉売り場からこんにちは。精肉部門の中の人です。

「運動会のお弁当に入れたお肉、家で焼いたときはやわらかかったのに、お昼に開けたら硬い。脂が白く固まって口に残る」

そんな経験、ありませんか?

じつはあれ、焼き方より前の、売り場でパックを手に取った段階でほぼ決まっています。

毎日売り場でお肉を見ていますが、お弁当向きのお肉とそうでないお肉は、部位・厚み・脂の3点でかなりはっきり分かれます。ネットで調べると片栗粉や火加減の話ばかり出てきますが、買うお肉が合っていなければ、どれだけ丁寧に焼いても冷めたときに硬くなります。

先に結論だけ言うと、冷めて食べるお弁当は「鶏か豚の、脂も厚みも中くらいの部位」を選べば、作り方を変えなくても解決します。

冷めると硬くなる本当の理由は「脂が溶ける温度」

冷めたお肉が硬く感じる原因の半分は、お肉そのものではなく脂です。脂は温かいうちは溶けてとろみになりますが、温度が下がると白く固まって、口の中でロウのように残ります。

そして、脂が溶ける温度はお肉の種類でちがいます。おおまかに言うと、鶏がいちばん低く、次が豚、いちばん高いのが牛です。牛の脂は40〜50℃くらいで溶けるものが多く、人の体温よりも高い。つまり、冷めた牛肉の脂は口の中に入れても溶けきらないことがあります。

豚の脂はそれより少し低く、30℃台の後半から40℃台の前半で溶けはじめます。鶏の脂はさらに低く、30℃前後で溶けるので、冷めてもべたつきにくい。焼きたてを食べる夕食なら牛でも豚でも変わりませんが、お弁当は「冷めてから食べる」のが前提です。この前提が変わるだけで、選ぶべきお肉の順番が変わります。

だから、お弁当のお肉は鶏と豚が有利です。牛肉が好きなご家庭なら入れてもかまいませんが、その場合は脂の少ない部位を選んでください。理由は次の章で説明します。

鶏・豚・牛で脂が溶ける温度を比べた図。牛だけが口の中の温度より高い
脂が溶ける温度。牛だけが口の中の温度より高い位置にあります

売り場で見るのは「部位・厚み・脂」の3点だけ

ここからは、いま棚の前に立っているつもりで読んでください。見るところは3つだけです。順番に手を動かしていきましょう。

1. 部位は「真ん中」を狙う

まず、パサつきやすい部位と、脂が多すぎる部位の両端を外します。

パサつきやすいのは、鶏むね肉・豚もも肉・牛もも肉のような、脂の少ない赤身の部位です。焼きたてはさっぱりしておいしいのですが、冷めると水分が抜けた分だけ硬さが前に出ます。ダイエット中のお弁当には向いていますし、あとの章で書く前日仕込みをすれば十分使えるので、悪いお肉ではありません。ただ「冷めてもやわらかい」を狙う今日は、いったん外しておきましょう。

反対に、脂が多すぎるのは牛バラ肉・豚バラ肉です。焼肉や炒め物では主役ですが、冷めると脂が白い塊になって浮いてきます。お弁当箱のふたを開けたときに、おかずのまわりが白くなっているのは、たいていこれです。

残った真ん中が正解です。鶏なら鶏もも肉、豚なら豚肩ロース肉か豚ロース肉、牛を入れるなら牛肩ロース肉の赤身が多めのパックを選んでください。赤身の中に脂が細かく散っている部位は、冷めても脂が固まりにくく、噛んだときにお肉の水分と一緒に口の中でほどけます。

2. 厚みは「薄すぎず、厚すぎず」

次に、パックを持ち上げて横から厚みを見てください。

薄切り(しゃぶしゃぶ用や炒め物用の、1〜2ミリのもの)は、焼いたときにきゅっと縮みます。焼きたてなら気になりませんが、冷めるとその縮みがそのまま硬さになる。お弁当に入れると「小さくて硬い」の二重苦です。ただし、薄切りをくるくる巻いて1本にする「肉巻き」のような使い方なら、厚みが出るので問題ありません。

反対に、とんかつ用のような厚いお肉(1.5センチを超えるもの)は、中まで味が入りにくく、冷めると噛み切るのに力がいります。お子さんの口には大きすぎることも多いです。厚みで硬さが決まる話は、ステーキの記事でも詳しく書きました。

お弁当に向いているのは、その間の5〜8ミリです。売り場では「生姜焼き用」「厚切り」「ソテー用」と書かれたパックがこの厚みに入ります。鶏もも肉なら、切り身になっている「唐揚げ用」「一口大カット」も同じ考え方で選べます。

3. 脂の見た目で最後の確認

最後に、パックの中のお肉をよく見ます。ここは赤身と脂身の「配分」を見る作業です。

まわりに白い脂身の帯が太くついているものより、赤身の中に白い筋が細かく入っているものを選んでください。太い脂身は冷めると固まる側で、細かく散った脂は口の中でほどける側です。同じ「豚肩ロース」の棚でも、パックごとに配分はけっこう違います。2〜3パック見比べれば、すぐに差がわかります。

脂身が太めのパックしか残っていなくても、心配はいりません。家で焼く前に、外側の脂身を包丁で少し切り落とせば同じことです。

同じ豚肩ロースでも脂身が太い帯のものと赤身に細かく散ったものを比べた図
同じ豚肩ロースでも、脂のつき方はパックごとに違います

部位別に「このパックを取ればいい」まで落とす

ここからは、部位ごとに売り場の表示で答えを出します。

鶏は、鶏もも肉が一番手です。脂が溶ける温度が低いので、冷めてもべたつかず、照り焼き・唐揚げ・塩焼きのどれにしても失敗が少ない。皮つきなら皮の脂が身を守ってくれるので、なおやわらかく仕上がります。鶏むね肉を使いたいときは、そぎ切りにして厚みを均一にするだけでも差が出ます。

豚は、豚肩ロース肉の生姜焼き用が万能です。赤身と脂のバランスが真ん中で、厚みも5〜8ミリの範囲に入っていることが多い。豚ロース肉も使えますが、肩ロースより赤身が多い分、冷めるとやや締まります。豚バラ肉は、冷めたときの白い脂が気にならないご家庭なら、薄切りを巻いて使う分には問題ありません。

牛は、どうしても入れたいなら牛肩ロース肉の赤身が多めのパックか、牛もも肉の薄切りを甘辛く煮た「しぐれ煮」のような使い方が向いています。焼いただけの牛肉は、冷めたときにいちばん脂が固まりやすいので、お弁当では一歩引いた選択肢です。

ひき肉は、じつは隠れた優等生です。豚ひき肉や合いびき肉のハンバーグや肉だんごは、脂が全体に散っているので冷めても硬くなりにくい。鶏ひき肉のつくねなら、脂が溶ける温度も低くて安心です。

そもそも生のお肉で作らなくてもいい

ここまで生のお肉の選び方を書いてきましたが、最後にひとつ正直なところを。売り場に立っていると、お弁当用によく動いていくのはハムやソーセージ、それに味のついた肉だんごです。精肉の棚のすぐ近くに並んでいる、あのあたりの商品ですね。

これは手抜きではありません。ハムやソーセージは、そもそも冷めた状態で食べることを前提に作られています。冷蔵庫から出して切って詰めるだけで、硬くならず、脂も気になりません。味つきの肉だんごも同じで、温め直して詰めれば、冷めたときの硬さまで計算ずみです。

朝の時間が読めない日は、無理に生のお肉から作らなくていいんです。メインのおかずを1品だけ生のお肉で作り、残りのすき間はハムやソーセージで埋める。この配分なら、ここまで書いた選び方を使うのも1品分で済みます。

前日の仕込みは「補助」。主役はやっぱり買う段階

ここまでで買うお肉は決まりました。最後に、前日と当日の一手間を補足しておきます。ただし、これは主役ではなく補助です。合ったお肉を買っていれば、ここは最小限で足ります。

前日にやるなら、下味をつけて冷蔵庫に入れておくだけで十分です。しょうゆ・みりん・酒のような液体の調味料に浸けておくと、翌朝焼くときにお肉の水分が抜けにくくなります。厚みが均一になるよう、前日のうちに大きさをそろえて切っておくと、当日の朝が楽になります。

当日は、焼きすぎないことだけ気にしてください。冷めることを前提に、火を止めるタイミングを少し早めにする。余熱で中まで火が通り、冷めても縮みが少なくて済みます。片栗粉をまぶすやり方も、薄めのお肉を使うときには効きますが、5〜8ミリの厚みがあれば無くても大丈夫です。

まとめ

今日のポイントをおさらいします。

  • 冷めると硬くなる原因の半分は脂で、溶ける温度は鶏が低く、牛が高い。お弁当は鶏と豚が有利
  • 部位は「真ん中」を狙う。鶏もも肉・豚肩ロース肉が一番手で、ひき肉も冷めに強い
  • 厚みは5〜8ミリ。「生姜焼き用」「厚切り」の表示が目印
  • 脂は太い帯より、赤身に細かく散っているものを選ぶ

作り方を変えなくても、買うパックを変えるだけで、お昼に開けたお弁当のお肉がやわらかいままです。朝の時間がない日は、生のお肉は1品だけにして、残りをハムやソーセージで埋めても十分。運動会の一日が、少しだけ気持ちよく終わります。

まずは次の買い物で、豚肩ロース肉の生姜焼き用を1パック、横から厚みを見てからカゴに入れてみてください。

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