「鶏肉を焼いて切ったら、中がうっすらピンク。これって生焼け? 家族に出していいの? でも焼き直したら硬くなりそうで……」
フライパンの前で、そんなふうに手が止まったことはありませんか?
火が通っているかどうかは、ピンクかどうかでは決まりません。確かめるのは中心の温度です。厚生労働省が示す目安は「中心部を75℃で1分間以上」。温度を確かめられないときや、少しでも迷ったときは、追加で火を通してください。
中の人も、家では焼いた鶏肉をまず切って見ています。それでも迷うときは、温度計を刺して確かめています。
ピンクかどうかでは決まらない。中の人は「切って見て、迷えば温度計」
売り場でも、お客様に「焼いたら中がピンクだったけど、大丈夫?」と聞かれることがあります。そのとき、中の人はこう答えています。「大丈夫とは言えません。ちゃんと火を通してください」。
見た目だけで「大丈夫」と言い切れる人はいません。お肉を毎日さわっている中の人でも、同じです。
切って見るときは、いちばん厚いところの真ん中
切って確かめるなら、場所が大事です。鶏もも肉なら身がいちばん盛り上がっているところ、鶏むね肉なら太いほうの端を、包丁で半分に切ってください。火がいちばん最後に届くのは、厚いところの真ん中だからです。
断面が赤っぽく、透き通ったようなつやがあれば、まだ火が足りていません。迷わずフライパンに戻しましょう。
ピンクの汁が出てくるときも、考え方は同じです。汁の色で「大丈夫」「だめ」を決めず、中心の温度で確かめてください。

火が通っても、ピンクが残ることがある
色だけで決められない理由は、もうひとつあります。しっかり火を通した鶏肉でも、ピンクっぽい色が残ることがあるのです。
アメリカ農務省の食品安全検査局(FSIS)は、「The Color of Meat and Poultry(お肉の色)」というページで、安全に加熱された鶏肉の色は白からピンク、薄い茶色までさまざまだと説明しています。若い鶏では、骨のまわりのお肉が黒っぽくなることもあるそうです。骨がまだかたまりきっていないため、骨の中の色素が外ににじみ出るのが理由とされています。
ここで大事なのは、「だからピンクでも大丈夫」とはならないことです。火が通っていてもピンクのことがあるし、火が足りなくてもピンクのことがある。つまり、色だけでは見分けがつきません。だからこそ、温度で確かめるのがいちばん確実です。
温度計で確かめる。ないときは、ふたをして追加で火を通す
温度計があれば、迷う時間はぐっと短くなります。刺すのは、いちばん厚いところの真ん中です。東京都の資料でも、温度を確かめる「中心部」は、お肉のいちばん厚い部分とされています。
中の人も家では、温度計を中心側のいちばん厚いところに刺しています。表示が75℃を超えたら、ふたをして1分。針の先が反対側に突き抜けないよう、刺す深さだけは気をつけてください。
温度計を買うかどうか迷っている方は、こちらで「要る人・要らん人」を分けています。
肉用温度計は買いか? 精肉のプロが考える「要る人・要らん人」の線引き
温度計がないときの、硬くしにくい焼き直し方
温度計がないときは、迷った時点で追加で火を通してください。硬くなるのが心配なら、強火で焼き直すより、ふたをして蒸し焼きにするほうがしっとり仕上がります。
焼き直すときは、次の順番でやってみてください。
- 切った面を下にして、フライパンに戻す
- 水を大さじ1〜2杯ほど入れて、すぐにふたをする
- 弱めの中火で、数分ずつ様子を見る
- もう一度いちばん厚いところを切って、中を確かめる
煮物なら、お肉を煮汁に戻して、ふたをして煮てください。電子レンジを使う場合は、ラップをふんわりかけて、短い時間ずつ温めます。レンジは温まり方にむらが出やすいので、温め終わったら、いちばん厚いところをもう一度確かめてくださいね。
鶏むね肉は、火を通しすぎるとパサつきやすい部位です。下ごしらえで差がつくので、こちらも参考にしてください。
鶏むね肉をパサパサにしない選び方。売り場で見る3か所と下ごしらえ
唐揚げ・骨付き・鍋は、ここで迷いやすい
同じ鶏肉でも、料理によって火の通りにくいところが違います。迷いやすい3つの料理のコツをまとめました。部位ごとの違いは、もも・むね・ささみの記事にまとめています。
鶏もも・むね・ささみ、どれを買う? 精肉のプロは「火の入れ方」で選ぶ
唐揚げは、大きさをそろえて、いちばん大きいのを割る
唐揚げは、衣がこんがりしていても中が足りないことがあります。大きさがばらばらだと、小さいものに合わせて揚げ上がりを決めてしまいがちです。
切るときに大きさをそろえておけば、火の通りもそろいます。揚げ終わったら、いちばん大きいものを1つ割って、中を確かめてください。温度計があれば、いちばん大きいものに刺して確かめましょう。唐揚げ向きの鶏肉の選び方は、こちらにまとめています。
唐揚げの鶏肉、スーパーで何を買う? 唐揚げ用パックと1枚もの、選び方と何グラムの目安
骨付き肉は、骨に沿って切り込みを入れる
手羽元や骨付きのもも肉は、骨のまわりに最後まで火が届きにくいものです。焼く前や煮る前に、骨に沿って包丁で切り込みを1本入れておくと、熱が中まで届きやすくなります。
確かめるときも、骨のそばの身を見てください。温度計を刺すなら、骨に当たらないところで、身のいちばん厚い部分を狙います。手羽元と手羽先の違いは、こちらの記事でどうぞ。

鍋は、鶏肉を先に入れて、いちばん大きいひと切れを割る
鍋の鶏肉は、ほかの具材と一緒に入れると、温度が下がって火が通るのに時間がかかります。鶏肉は先に入れて、いちばん大きいひと切れを割って確かめてから食べ始めてください。生の鶏肉をつかむ箸と、食べる箸は分けましょう。鍋に入れるお肉の部位や量は、こちらにまとめています。
鍋に入れるお肉はどれ? 豚・鶏のおすすめ部位と1人前は何グラムか
ちなみに、ローストビーフの赤い汁については別の記事で書きました。牛のかたまり肉と鶏肉では、事情が違います。鶏肉は、中心まで火を通すお肉と覚えておいてください。
ローストビーフを切ったら赤い汁…食べて大丈夫? 確かめるのは温度と表示
もう食べてしまったときは
「ピンクのまま、もう食べてしまった」という方もいるでしょう。厚生労働省は、加熱が足りない鶏肉による食中毒の原因として、カンピロバクターという菌を挙げています。症状は下痢、腹痛、発熱などで、食べてから1〜7日で出ることがあるそうです。体調に変わったところが出たら、早めに医療機関に相談してください。何をいつ食べたかを伝えると、診てもらいやすくなります。
まとめ
- 火が通っているかは、ピンクかどうかでは決まらない。火が通っていても、足りなくてもピンクのことがある
- 確かめるのは中心の温度。目安は厚生労働省の「中心部を75℃で1分間以上」で、温度計はいちばん厚いところの真ん中に刺す
- 迷ったら、ふたをして弱めの中火で追加で火を通す
- 唐揚げは大きさをそろえていちばん大きいのを割る。骨付きは骨に沿って切り込み。鍋は割って確かめてから食べる
色で迷う時間を、温度で確かめる時間に変えれば、家族にも自信を持って出せます。
次に鶏肉を焼いたら、いちばん厚いところを切って見てください。それでも迷ったら、ためらわずにもう一度火にかけましょう。


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