鶏もも肉の下処理はどこまで? 軟骨と黄色い脂の2つだけで十分、売り場でラクなパックの選び方も

鶏もも肉の下処理はどこまで? 軟骨と黄色い脂の2つだけで十分、売り場でラクなパックの選び方も 鶏肉

「レシピに『黄色い脂と筋を取り除く』と書いてある。でも、どこまで取ればいいの? 皮のはみ出たところも? 毎回全部やっていたら、それだけで10分かかってしまう」

そんなふうに、まな板の前で手が止まったことはありませんか?

安心してください。鶏もも肉の下処理は、大きな軟骨と黄色い脂の2つを取れば十分です。筋の切り込みや厚さをそろえる作業は、照り焼きのように1枚で焼く料理で、焼き縮みや焼きムラが気になったときに足せば間に合います。

じつは中の人も、家では下処理をほとんどしません。やるのは、大きな軟骨と黄色い脂を取るくらいです。全部取らなくても、鶏もも肉はちゃんとおいしく食べられます。

最低限は「大きな軟骨」と「黄色い脂」の2つだけ

鶏もも肉1枚には、取るかどうか迷う部分が4つあります。大きな軟骨、黄色い脂、白い筋、身からはみ出た皮です。このうち、どの料理でも取っておきたいのは最初の2つだけです。

大きな軟骨は、骨を外したあとに残る、白くてかたい部分です。もも肉の端のほうに、小指の先くらいの大きさで残っていることがあります。食べたときに「ガリッ」と当たるので、ここは取っておくと安心です。

黄色い脂は、皮と身のあいだや身の端に、かたまってついている黄色っぽい部分です。加熱すると脂っぽさが出やすく、食感もぶよっとします。大きなかたまりだけ取れば、仕上がりがすっきりします。

残りの2つ、白い筋とはみ出た皮は、取らなくても困らない料理がほとんどです。一口大に切って煮込むなら、筋もはみ出た皮もまず気になりません。どうするかは、あとの表を見て料理ごとに決めてください。

鶏もも肉で取るか迷う4か所。赤丸の2つ(軟骨・黄色い脂)だけ取れば十分
鶏もも肉で取るか迷う4か所。赤丸の2つ(軟骨・黄色い脂)だけ取れば十分

手順は「拭く・軟骨・黄色い脂」の順で、洗わない

ここからは、まな板の前で一緒にやっていきましょう。

最初に、キッチンペーパーで水気を拭いてください。 パックから出したら、鶏もも肉の両面をキッチンペーパーで押さえます。水気が残っていると、焼くときに油がはねたり、焼き色がつきにくくなったりします。

このとき、水で洗う必要はありません。農林水産省は、鶏肉を洗うと水はねで食中毒菌がキッチンや周りの食材に飛び散るおそれがあるとして、「鶏肉を洗わないで」と呼びかけています。拭くだけで大丈夫です。

次に、大きな軟骨を取ります。 皮を下にして置き、身の端を指でなぞってみてください。かたいものに触れたら、それが軟骨です。包丁の先を軟骨の下に入れて、すくうように切り取ります。キッチンバサミのほうがやりやすければ、ハサミで切り落としても構いません。

最後に、黄色い脂を取ります。 皮と身のあいだや身の端に黄色いかたまりが見えたら、つまんで引っぱりながら包丁で切り取ります。小さな粒まで全部追いかけなくていいですよ。目につく大きなかたまりだけで十分です。

中の人が家でやる下処理は、ここまでです。軟骨と黄色い脂を取るだけなら、1枚3分もあれば十分です。

終わったら、まな板・包丁・手を洗剤で洗ってください。生の鶏肉をさわった道具でそのまま野菜を切ると、菌が移ることがあります。

ひとつだけ、覚えておいてほしいことがあります。下処理は、おいしさと食べやすさのための作業です。食中毒の原因になる菌を減らすのは、下処理ではなく加熱です。厚生労働省は、中心部を75℃で1分以上加熱することを目安としています。どの料理でも、中まで火が通ったかを確かめてから食べてくださいね。

料理によって足す手間は、この表で決める

最低限の2つが終わったら、作る料理を思い浮かべてください。表の右の列は、仕上がりが気になる人がやればよい手間です。やらなくても、料理が失敗するわけではありません。

料理 最低限(軟骨・黄色い脂) 気になるなら足す手間
照り焼き・チキンソテー やる 筋に切り込み、厚さをそろえる、皮をフォークで刺す
唐揚げ やる 一口大の大きさをそろえて切る
煮物・鍋・カレー やる なし
親子丼・炒め物 やる なし(小さめに切るだけ)

照り焼きやチキンソテーは、1枚のまま焼くので、焼き縮みや焼きムラが出やすい料理です。反り返りが気になるなら、白い筋に包丁の先で数か所切り込みを入れてください。分厚いところを包丁で切り開いて厚さを近づけると、薄いところが焦げる前に、厚いところまで火が通りやすくなります。皮の縮みが気になるなら、皮をフォークで何か所か刺しておきます。

唐揚げで足すなら、筋よりも大きさをそろえるほうが効きます。大きさがばらばらだと、小さいものは揚げすぎ、大きいものは中が生焼け、ということが起きやすくなるからです。唐揚げに向く鶏肉の選び方は、唐揚げの鶏肉の選び方で詳しく書いています。

煮物・鍋・カレーは、最低限だけで大丈夫です。一口大に切って煮込むので、筋や厚さの差はほとんど気になりません。忙しい日は、この料理を選ぶだけで下処理が一番短くなります。

とはいえ、中の人自身は照り焼きや唐揚げのときでも、軟骨と黄色い脂を取るだけで作っています。まずは最低限の2つだけで作ってみて、焼き上がりに不満が出たら、表の手間を1つずつ足していけば十分です。

売り場では「皮が身からはみ出していないパック」を選ぶ

下処理をラクにするいちばんの近道は、買うときのひと目です。中の人が売り場で「これは家で手間がかかりそうだな」と思うのは、皮がお肉の身から必要以上にはみ出しているパックです。はみ出た皮が多いと、切りそろえるか、身の下に折り込むかの手間が増えます。

反対に、ラクなのは次のようなパックです。

  • 皮が身の大きさとほぼ同じで、はみ出していない
  • 皮と身がしっかりくっついていて、浮いていない

棚の前に立ったら、パックを少し傾けて、お肉のふちを見てください。皮が身からはみ出していなければ合格です。皮と身のあいだがすき間なくくっついていれば、迷わずカゴに入れて大丈夫ですよ。

はみ出しているパックを選んでしまっても、心配はいりません。はみ出た部分をキッチンバサミで切り落とせば済みます。少し手間が増えるだけで、味が落ちるわけではありません。

鶏もも肉そのものの選び方は、鶏もも・むね・ささみの選び方にまとめています。色やドリップの見方とあわせて使ってください。

パックを傾けてふちを見る。皮が身からはみ出していなければ下処理がラク
パックを傾けてふちを見る。皮が身からはみ出していなければ下処理がラク

まとめ:今日から下処理は「軟骨と黄色い脂」だけでいい

  • 鶏もも肉の下処理は、大きな軟骨と黄色い脂の2つを取れば十分(1枚3分ほど)
  • 洗わずにキッチンペーパーで拭き、菌への対策は中心部75℃・1分以上の加熱で行う
  • 筋の切り込みや厚さをそろえる作業は、焼き上がりが気になったときに足す
  • 売り場では、皮が身からはみ出していないパックを選ぶ

レシピの「取り除く」を全部やらなくても、鶏もも肉はおいしく仕上がります。手間を減らした分、焼き加減や味つけに気持ちを向けられます。

まずは今夜の鶏もも肉で、軟骨と黄色い脂の2つだけ取って、そのまま料理に進んでみてください。次の買い物では、パックのふちを見て、皮がはみ出していないものを選んでみましょう。

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スーパーの精肉部門で働いています。毎日売り場でお肉を見て、切って、並べています。いつものスーパー・いつもの予算で、ちょっとおいしいお肉を選ぶコツを書いています。
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