「豚バラの脂身に、黒いポツポツがある。別のお肉は脂身がうっすら青紫。これってカビ? 腐ってる? 食べていいの?」
パックを開けて、そんなふうに手が止まったことはありませんか?
黒い点や青紫の色があるだけでは、傷んでいるサインとはかぎりません。黒い点は血のあとや色素、青紫は検査に合格したときに押される印のインクのことがあるからです。
食べるかどうかの決め手は、色ではなく、におい・ぬめり・ドリップの3つです。どれも当てはまらなければ、気になる部分を包丁で削り、中までしっかり火を通して使ってください。それでも迷うときは、遠慮なく買ったお店に相談してくださいね。
脂身の黒い点は、おもに「血のあと」と「色素」
脂身の黒い点には、おもに2つの原因が考えられます。この2つは、どちらもお肉が傷んでできるものではありません。
1つ目:血のあとが、火を通して黒く見えるもの
福岡市の保健所が調べた事例があります。国産の豚うで肉の切り落としを茹でたところ、黒い小さな点が集まって見えた、というものです。調べてみると、筋肉も脂肪も正常でした。脂肪のあいだにたまっていた赤血球(血液の赤い成分)が、加熱で色が変わって黒く見えたものと推定されています。
生のときは目立たなかったのに、焼いたり茹でたりしてから黒い点に気づいた。そんなときは、このタイプかもしれません。
2つ目:色素がたまってできたもの
もうひとつは、メラニンという色素が脂身などにたまったものです。人のほくろのもとになる色素と同じ仲間です。京都市のと畜検査の資料では、毛色の濃い品種の血が入った豚に出やすいと書かれています。
ただ、血のあとと色素は、見た目だけで見分けるのが難しいものです。家ではどちらなのか決めなくてかまいません。どちらであっても、確かめることと使い方は同じです。
ついでに、脂身のなかに黒ではなく、赤身のような色をした柔らかいかたまりが埋まっていることもあります。これはリンパ節という体の組織です。福岡市の保健所の別の事例では、食べても健康上の問題はないと説明されています。こちらも気になるなら、包丁で取り除いてから使えば十分です。
中の人も、豚バラの脂身に黒い点を見たことがあります。目にするのはたいてい、スライサーにかける前のブロックのとき。パックに詰めて売り場に並んだあとで見かけることは、そう多くありません。もし家で見つけても、慌てなくて大丈夫です。
脂身の青紫は「検査に合格した印」のインクかも
脂身の青紫も、パックを開けてドキッとする色ですよね。こちらは、と畜検査で押される印のインクの可能性があります。
と畜検査は、豚や牛がお肉になる前に、獣医師の資格を持つ検査員が1頭ずつ病気などがないかを調べる検査です。合格した枝肉(頭や内臓を取り、背骨にそって半分に割った大きなお肉)には、合格のしるしとして印が押されます。この印を「検印」といいます。
検印のインクは、食品添加物として使われている色素で作られています。さいたま市の説明では、印はふつう、お肉をブロックに整えるときに取り除かれます。もし残っていても、安全性に問題のないインクだそうです。
中の人は、脂身の青紫をわりとどの部位でも見かけます。なかでもよく見るのは、ロースともも。線や文字の形というより、うっすらにじんだような色をしています。こうした青紫の多くは、検印のインクと考えられます。インクとわかっていても気になるなら、その部分だけ削ってしまえばすっきりしますよ。

色より先に、におい・ぬめり・ドリップを見る
黒い点や青紫は、それだけでは傷んでいるかどうかの決め手になりません。お肉の色と傷みの関係は、牛肉の記事でもくわしく書いています。
→ 牛肉の変色は大丈夫? 茶色・灰色・黒っぽい理由と、色より先に見る4つのこと
食べるかどうかを分けるのは、次の3つです。パックを開けたら、順番に確かめてください。
1つ目は、においです。 開けた直後は、パックの中にこもっていたにおいを強く感じます。少し置いてから、もう一度かいでみてください。酸っぱいにおいや、ツンと鼻をさすにおいがしたら食べません。
2つ目は、ぬめりです。 表面を菜箸で軽く押さえて、そっと離します。糸を引いたり、ベタッとまとわりついたりしたら食べないでください。さらっと離れるなら問題ありません。
3つ目は、ドリップです。 ドリップは、お肉からにじみ出た水分のこと。パックの底にたまった汁がにごっていたら食べません。透明か、うっすら赤い汁なら普通の状態です。
→ お肉のドリップとは?パックの赤い汁は血じゃない。出たときの扱い方と選び方
もうひとつ、黒い点そのものの見た目にも気をつけてください。点がふわふわしていたり、綿のように盛り上がっていたり、表面に広がっていたりするなら、カビかもしれません。その場合は削って使おうとせず、食べないほうを選んでください。
糸の引き方やにおいの見分け方は、鶏肉の記事でもくわしくまとめています。
→ 鶏肉のぬめりは大丈夫? 食べていいかは「糸・におい・ドリップ」の3つで見分ける
使うときは「気になる部分を削って、中まで火を通す」
3つとも当てはまらなければ、黒い点や青紫が気になる部分を包丁で薄くそぎ取ってから使ってください。中の人も、家ではあまり気にしていません。削れるところだけそいで、あとはいつもどおり料理しています。
削ったあとは、中心部まで火を通してください。黒い点があってもなくても、食中毒の原因になる菌がついているかどうかは、見た目やにおいではわからないからです。厚生労働省は、お肉の中心部を75℃で1分間以上加熱する目安を示しています。豚肉は生で食べないでくださいね。
とんかつや焼き豚のように厚みのあるお肉は、中まで火が通ったかどうかが見た目ではわかりにくいものです。肉用温度計があると、中心の温度を測って迷わずにすみます。
→ 肉用温度計は買いか? 精肉のプロが考える「要る人・要らん人」の線引き
3つを確かめても判断に迷うときや、点が多くてどうしても気持ちが悪いときは、無理に食べなくてかまいません。レシートとパックを持って、買ったお店に相談してください。お肉を直接見せたほうが、お店の人も状態を確かめやすくなります。
もう食べてしまったときは
「においを確かめる前に、もう食べてしまった」という方もいるでしょう。おなかの痛み、下痢、発熱など、体調に変わったところが出たら、早めに医療機関に相談してください。いつ、何を、どのくらい食べたかを伝えると、診てもらいやすくなります。

まとめ
- 脂身の黒い点は、血のあとが火を通して黒く見えたものや、色素がたまったものがある
- 脂身の青紫は、と畜検査に合格した印のインクの可能性がある
- 食べるかどうかは色ではなく、におい・ぬめり・ドリップで決める。ふわふわした点はカビを疑って食べない
- 使うときは気になる部分を削り、中心部を75℃で1分間以上加熱する
見るところが決まっていれば、脂身に黒い点を見つけても、あわてずに判断できます。
次に豚肉のパックを開けて黒い点や青紫を見つけたら、まずにおい・ぬめり・ドリップの3つを確かめてみてください。


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