ローストビーフのお肉、スーパーで何を買う? 選び方は「部位・形・重さ」の3つだけ

肉の選び方

お肉売り場からこんにちは。精肉部門の中の人です。

「クリスマスはローストビーフを家で作ろう」と決めて売り場に来たのに、ブロック肉の棚の前で手が止まる。「ローストビーフ用」と書いたパックが見当たらない。ももと肩ロースのどちらがいいのか、何グラム買えば家族ぶんになるのか分からない。そんな経験はありませんか。

じつはローストビーフの仕上がりは、焼く前の、お肉を選ぶ段階でかなり決まっています。

売り場で見るのは「部位・形・重さ」の3つです。部位は牛もも肉のブロック、形は端から端まで太さと厚みが揃っているもの、重さは1人あたり100〜150グラム。この3つだけ見れば、「ローストビーフ用」の表示がなくても迷わずカゴに入れられます。

部位は「もも」が基本。表示がなくても探せる

ローストビーフ用のお肉は、赤身が多くて脂が少ない牛もも肉が基本です。理由は2つ。冷めてから切り分けて食べることが多い料理なので、脂の多いお肉だと冷めたときに脂が白く固まって口に残ること。そして、塊で買ってもロースやヒレより値段をおさえられることです。

売り場に「ローストビーフ用」と書いたパックが年中並んでいるわけではありません。クリスマス前や年末に増えるお店が多い一方、それ以外の時期は「牛もも ブロック」「牛モモかたまり」といった名前で並んでいます。ラベルの料理名ではなく、部位名を見てください。

売り場でローストビーフ用のブロックとしていちばん多く並べるのは、うちももです。売り場では「内平(うちひら)」と呼ぶこともあります。赤身が多くて手ごろで、お客様にいちばんよく選ばれる部位でもあります。次に多いのが、しんたまのなかの「カメノコ」と呼ぶ部分。ランプなど、ほかの部位を並べる日もあります。ラベルに「もも」「うちもも」「しんたま」「ランプ」と書いてあれば、どれもローストビーフに使えます。ランプはももの付け根、腰に近い部分で、やわらかめでやや高め。うちももでもランプでも、失敗ではありません。

もものブロックがない日は、肩ロースのブロックでも作れます。ももより脂が入るぶん、しっとり仕上がりやすく、冷めても硬くなりにくいお肉です。ただし値段は100グラムあたりで見るとももより高いことが多いので、予算と相談してください。ヒレはいちばんやわらかい部位ですが、値段が別格なので、この記事では「ごちそうの上のごちそう」として置いておきます。

部位ごとの性格は、牛肉の部位の使い分けにまとめてあります。

形で選ぶ。太さと厚みが揃ったブロックを

ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。同じ「牛もも 400グラム」のブロックでも、形によって火の通り方がまったく変わります。

売り場で見ていると、お客様はブロックの形をよく見て選んでいます。片方の端が細くなっていく形のブロックは、手に取られにくい。その目は正しくて、理由は火の通り方にあります。

棚の前に立ったら、パックを手に取って、横から眺めてください。見るのは3つです。

1つ目、端から端まで太さが揃っているか。 片方の端が細くすぼまっているブロックは、細いほうに先に火が通ります。太いほうが好みの色になるころには、細い端は中まで茶色くなり、切り分けたときに端だけパサついた仕上がりになります。四角い箱のような形、あるいは太さの変わらない丸太のような形を選んでください。

2つ目、厚み(高さ)があるか。 平べったいブロックは、表面を焼いているあいだに中まで火が入りやすく、赤く仕上げる余裕がありません。ラベルの重さが同じなら、平たく広いものより、こんもり高さのあるものを選びます。厚みがあるほど、焼き加減の失敗に強いお肉です。

3つ目、太いスジや脂のかたまりが表面を横切っていないか。 太いスジは焼くと縮んで、ブロックが反り返ります。反ると片面だけ焼き色が濃くなり、これも火の通りのムラになります。細いスジや薄い脂なら気にしなくて大丈夫です。赤身のなかに白い脂が細かく入っているのは、やわらかさのもとなので心配いりません。

太さが揃ったブロックと片端が細いブロックの火の通りの違い
片端が細いブロックは、細い端だけ火が通りすぎる

形の揃ったブロックがない日は、ひとつ大きめのブロックを買って、家で細い端を切り落とし、切り落とした部分は炒め物やシチューに回す手があります。お店によっては、対面の売り場で「このくらいの大きさに切ってほしい」と声をかければ切ってもらえることもあります。そうした案内があるお店なら、遠慮なく頼んでみてください。

ステーキ肉の厚みの話は、スーパーのステーキ肉、硬いのは厚みが原因に書きました。考え方はローストビーフと同じです。

重さは人数で決める。1人100〜150グラム

ローストビーフの重さは、生のお肉で1人あたり100〜150グラムが目安です。焼くと水分が抜けて1〜2割ほど軽くなりますが、薄く切って並べると、100グラムでも皿の上では十分な量に見えます。ほかにチキンやサラダも並ぶクリスマスの食卓なら100グラム、ローストビーフが主役の日なら150グラムで考えてください。

人数ごとの目安を表にしました。売り場のブロックは300〜500グラム前後のものが多いので、ラベルの重さを見て、この数字に近いものを手に取ってください。

人数 ほかにも料理が並ぶ日 ローストビーフが主役の日
2人 200〜300g 300g前後
3〜4人 300〜400g 400〜600g
5〜6人 500〜600g 700〜900g

ここで1つ注意があります。少人数だからといって、200グラムより小さいブロックを選ぶのはおすすめしません。小さいブロックは厚みも薄くなりがちで、表面を焼いているあいだに中まで火が通ってしまいます。2人でも300グラム前後を買って、残りは翌日のサンドイッチに回すほうが、当日の仕上がりは安定します。逆に6人を超えるなら、1キロの大きな塊を1本買うより、400〜500グラムを2本に分けたほうが火の通りを揃えやすくなります。

ローストビーフのお肉の人数別の重さ早見。2人300g前後・3〜4人400〜600g・5〜6人700〜900g
ローストビーフが主役の日の、人数別の重さの目安

輸入か国産か。値段は100グラムで比べる

ローストビーフ用のブロックは、輸入牛でも国産牛でも作れます。多くのスーパーでは、ももブロックはオーストラリア産やアメリカ産の輸入牛が中心で、国産牛や黒毛和牛のブロックは数が少なめ。あっても値段は上がります。

輸入牛の赤身は、ローストビーフに向いています。脂が少なく、赤身の味がはっきりしていて、中を赤く仕上げる料理と相性がいい。「輸入だから硬い」と心配する方もいますが、硬さを決めるのは部位と形と焼き加減で、産地そのものではありません。予算をおさえたい日は輸入のももブロック、お祝いで奮発したい日は国産や和牛、と使い分けてください。産地による違いは、輸入牛と国産牛の違いに書いています。

値段はパックの合計金額ではなく、100グラムあたりで比べてください。400グラムと500グラムのブロックを並べると、合計金額では500グラムのほうが高く見えますが、100グラムあたりでは同じか安いことがあります。比べ方はお肉の値段は100gあたりで比べるにまとめました。

冷凍のブロックを買った場合は、焼く前に冷蔵庫でゆっくり解凍してください。半分凍ったまま焼くと、これも火の通りのムラの原因になります。時間の目安は冷凍肉の解凍のしかたを参考にしてください。

焼き方の細かいコツは、この記事では深入りしません。ただ1つだけ。ブロック肉は、生の面が残らないよう表面全体に焼き色をつけてから、中を仕上げるのが基本です。香ばしさのためでもあり、表面をきちんと加熱するためでもあります。中の温度を見ながら焼きたい方は、肉用温度計は買いかで道具の話をしています。赤く仕上がらない原因については、別の記事であらためて書きます。

まとめ

今日のポイントをおさらいします。

  • 部位は牛もものブロック。「ローストビーフ用」の表示がなくても、「もも」「うちもも」「ランプ」の文字を探す
  • 形は、端から端まで太さが揃って、厚みのあるもの。片端が細いブロックは火の通りにムラが出る
  • 重さは1人100〜150グラム。2人でも300グラム前後を買うと仕上がりが安定する
  • 値段は100グラムあたりで比べる。輸入の赤身でもローストビーフは十分おいしくできる

クリスマスのローストビーフは、焼く腕前と同じくらい、売り場での選び方で仕上がりが変わります。いいお肉を選べれば、焼き方はいつもどおりでかまいません。

次にブロック肉の棚の前に立ったら、パックを手に取って横から眺めてください。太さが揃っていて、厚みがあって、人数ぶんの重さがあるか。この3つに丸がつくものを1つカゴに入れる。それでクリスマスの主役は決まります。

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