豚肉のロースと肩ロースの違い。バラも含めて売り場で見分ける方法

赤身に白い脂が網目状に入った豚肉の薄切り 豚肉

「今夜は生姜焼きにしよう。そう決めて売り場に来たのに、豚ロース、豚バラ、肩ロースと並んでいて、結局どれがいいのか分からない…」

じつはこの3つ、「脂の量」と「やわらかさ」の2つだけで見分けられます。

毎日売り場でお肉を並べていますが、この3部位の棚の前は、お客様の足がいちばん長く止まる場所です。「生姜焼きにはどれがいいの?」は、私がお客様からいただく質問の定番でもあります。

答えは、「あっさりやわらかく食べたいならロース、脂のコクで選ぶならバラ、その中間で味の濃さをとるなら肩ロース」。これだけです。順番にお話しします。

まずは一枚の地図。3部位は「脂」と「やわらかさ」で分かれる

細かい話の前に、頭の中に地図を一枚作りましょう。

  • ロース: 脂は少なめ、きめが細かくてやわらかい
  • バラ: 脂が多く、コクが主役。食感はしっかりめ
  • 肩ロース: 脂もやわらかさも中間。そのぶん味が濃い

この3行が今日の答えのすべてです。ここから先は、この地図を売り場のパックと結びつけていきます。

見分け方は簡単なので、棚の前に立ったつもりで聞いてください。まずパックの中のお肉の「白い部分」だけを見ます。白い脂が、お肉のふちに一本の帯みたいについていたらロース。白とピンクがしましまの層になっていたらバラ。赤身の中に白い脂が網目みたいに散らばっていたら肩ロースです。ラベルを読まなくても、白い部分の入り方だけで当てられるようになりますよ。

「脂が多い=悪いお肉」ではないので、そこは安心してください。脂はうまみとコクのもとです。多いか少ないかは良し悪しではなく、作る料理との相性で決まります。

3部位をひとつずつ。売り場のパックと料理をつなげる

地図ができたところで、一部位ずつ「どんな見た目で、何に向くか」を見ていきます。

ロースは「上品な優等生」です。 きめが細かくてやわらかく、脂はふちの一本だけ。あっさり食べたい日の一軍です。厚切りならとんかつやポークソテー、薄切りなら生姜焼きやしゃぶしゃぶに向きます。同じロースでも、厚みが変わると別の料理用になる。ここが豚肉売り場の面白いところです。選ぶときは、赤身が明るいピンク色で、パックの底に赤い汁がたまっていないものを取ってください。ふちの脂は「多いから外れ」ではなく、白くてつやがあれば元気な証拠です。

バラは「コクの主役」です。 赤身と脂が層になっていて、加熱すると脂のうまみが全体に回ります。薄切りは野菜炒め、肉巻き、お好み焼きに。かたまり(ブロック)は角煮やチャーシューに化けます。脂が多いぶんカロリーは上がりますが、少ない量でも満足感が出るので、炒め物なら一人あたりの量を控えめにしても物足りなくなりません。薄切りパックを選ぶなら、赤身の層と脂の層がくっきり交互に入っているものがおすすめです。

角煮にする日は、豚バラブロックの層と脂の厚みの見方で、同じ部位のパックを見比べてください。

肩ロースは「味の濃い中間選手」です。 赤身の中に脂が網目状に入っていて、ロースよりコクがあり、バラよりあっさり。噛むほどに味が出るので、豚肉の味そのものを楽しむ料理に向きます。薄切りなら焼肉やこってりめの生姜焼き、かたまりならカレーや煮込みです。

豚のロース・バラ・肩ロースの脂の入り方の違いを示した図解
白い部分の入り方だけで見分けられます

豚肉のロースと肩ロースの違い。結局どっちを買えばいい?

先に答えを言います。やわらかさで選ぶならロース、味の濃さで選ぶなら肩ロースです。バラを除いたこの2部位で迷う方は多いので、ここで正面から比べておきます。

やわらかいのはロースです。 きめが細かいぶん、火を通してもかたくなりにくい。肩ロースは赤身の間に脂と筋が入り込んでいて、噛みごたえがある代わりに、噛むほど味が出ます。とんかつのロースがすっと噛み切れるのは、このきめの細かさのおかげです。

脂は、肩ロースのほうが多く見えます。 ただ、大事なのは量より「外せるかどうか」です。ロースの脂はふちに一本ついているだけなので、苦手なら調理前に包丁で外せます。肩ロースの脂は赤身の中に網目状に散っているので、取り除けません。「脂は控えめにしたい」という方にロースをおすすめする理由は、量よりこの違いにあります。

値段は、どちらが安いと言い切れません。 日やお店、産地で入れ替わるからです。私の近所のスーパーだと、肩ロースとバラはだいたい同じくらいで、ロースはそれより少し買い求めやすいことが多いです。ただ、お店によってはバラより肩ロースのほうが高いこともあります。棚では値札の「100gあたり」の単価を見比べてください。それがいちばんの節約になります。

ここまでの違いを一枚の表にまとめます。売り場でパックを手に取ったまま見比べられるように、5つの軸だけに絞りました。

ロース 肩ロース
やわらかさ やわらかい 噛みごたえあり
脂の入り方 ふちに一本(外せる) 網目状(外せない)
味の濃さ あっさり上品 コクがあって濃い
向く料理 とんかつ、あっさり生姜焼き、しゃぶしゃぶ 焼肉、こってり生姜焼き、カレーや煮込み
こんな人におすすめ やわらかさ優先、脂は控えめ派 ごはんが進む濃い味派

表の左の列を上から見て、自分がいちばん譲れない軸を1つ決めてください。「やわらかさ」ならロース、「味の濃さ」なら肩ロース。軸が決まれば、答えは自動的に決まります。

それでも迷ったら、ロースです。やわらかくてクセがなく、どんな味付けでも外しません。「今日はごはんをがっつり食べたい」という日だけ、肩ロースに切り替えてください。

今夜の料理から逆引き。もう棚の前で迷わない

ここからが本番です。売り場では部位から考えるより、「今夜作る料理」から逆に引くほうが早く決まります。

今夜の料理 選ぶ部位
生姜焼き ロース薄切り(こってり派は肩ロース)
とんかつ・ポークソテー ロース厚切り
野菜炒め・肉巻き・お好み焼き バラ薄切り
焼肉・BBQ 肩ロース薄切りかバラ
カレー・ポトフ 肩ロースのかたまり
角煮・チャーシュー バラのかたまり(巻きチャーシューは肩ロースも)

表の使い方はこうです。売り場に着いたら、先に今夜の料理を1つ決める。それから表の右側の部位を探す。順番を逆にするだけで、棚の前で悩む時間がほとんど消えます。

生姜焼きが2か所に出てきたことに気づいた方、鋭いです。正解が1つではない料理もあります。あっさり仕上げたい日はロース、ごはんが進む濃い味にしたい日は肩ロース。家族の好みで決めて大丈夫です。

ちなみに、この表にもも・ヒレ・こまを足すと豚肉の全体地図が完成します。夏バテで食欲がない日は、夏バテの豚肉の記事で書いたとおり、脂の少ない薄切りの冷しゃぶが頼りになりますよ。

売り場で「生姜焼きにはどれがいい?」と聞かれたとき、私はロースをおすすめしています。バラや肩ロースだと、脂がタレに馴染んだとき、口当たりがしつこくなりがちです。その点、ロースならお肉のうまみをタレと一緒に味わえます。

千切りキャベツとトマトを添えた豚の生姜焼き
生姜焼きは薄切り肉の定番。部位選びで食べ心地が変わります(写真: subarasikiai / Pixabay)

まとめ

  • 3部位は「脂の量」と「やわらかさ」の2軸で覚える。あっさりやわらかのロース、コクのバラ、中間で味の濃い肩ロース
  • パックは白い部分の入り方で見分ける。ふちに一本ならロース、しましまならバラ、網目なら肩ロース
  • 売り場では「今夜の料理」から逆引きする。部位から考えるより早く決まる

私自身、3部位の中でいちばん出番が多いのはバラです。自宅では鍋をすることが多く、バラだと脂のうまみが鍋全体に広がって、お野菜もよりおいしく食べられるんです。この3部位から選ぶとなると、私はついバラを買ってしまいます。

部位の違いが分かると、同じ豚肉コーナーが「今日はどれで何を作ろうか」と選べる棚に変わります。それだけで食卓の幅がぐっと広がりますよ。同じ考え方は牛肉でも使えるので、よかったらスーパーの牛肉の部位の使い分けもあわせてどうぞ。

まずは次の買い物で、パックのラベルより先に「白い部分の入り方」を見てみてください。3回も見比べれば、ラベルなしで当てられるようになっています。

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この記事を書いた人
29labo

スーパーの精肉部門で働いています。毎日売り場でお肉を見て、切って、並べています。いつものスーパー・いつもの予算で、ちょっとおいしいお肉を選ぶコツを書いています。
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