「パックを開けたら、鶏肉の表面がぬるっとしている。期限内だし、臭いもしない。これ、食べていいの? 洗えば使える?」
そんなふうに手が止まったこと、ありませんか?
確かめるのは「糸」「におい」「ドリップ」の3つです。指で触れて糸を引く、酸っぱいにおいやツンとするにおいがする、ドリップがにごっている。このどれか1つでも当てはまれば、加熱しても食べないでください。
3つとも当てはまらず、表面がしっとりしているだけなら、傷んでいるサインではありません。鶏肉はもともと水分の多いお肉だからです。ただし、食中毒の原因になる菌がついているかどうかは、見た目やにおいではわかりません。洗わずにキッチンペーパーで拭いて、その日のうちに中心までしっかり火を通しましょう。
「ぬめり」と「しっとり」は別物です
ひとくちに「ぬるっとする」と言っても、2つの状態があります。この記事では、傷んでいるサインを「ぬめり」、正常な表面の湿りを「しっとり」と呼び分けます。
ぬめりは、指で触れて離したときに糸を引く状態です。表面がベタついて、指にまとわりつく感じがあります。お肉が傷みはじめると、表面にこうしたぬめりが出てきます。
しっとりは、表面が水分でうるおっているだけの状態です。指で触れると湿っていますが、離すとさらっと離れて、糸は引きません。鶏肉は牛肉や豚肉にくらべて水分が多いので、新しいものでも表面はしっとりしています。
鶏むね肉のにおいについて書いた記事でも、「表面にぬめりがある」のは傷んでいるサインだとお伝えしました。この記事の「ぬめり」も同じ意味です。糸を引くかどうかで分ければ、迷う場面はぐっと減ります。
→ 鶏むね肉が臭いのは腐ってる? 食べていい臭いの見分け方と、売り場で臭みを避ける選び方

パックを開けたら「糸・におい・ドリップ」の3つを見る
中の人も家でパックを開けたら、糸・におい・ドリップの3つを見ます。大丈夫なものは、その日に使い切ります。順番に見ていきましょう。
1つ目は、糸を引くかどうかです。 お肉の表面を指先か菜箸で軽く押さえて、そっと離してください。糸を引いたり、指がベタついたりしたら、そのお肉は食べません。さらっと離れるなら合格です。
2つ目は、においです。 パックを開けた直後は、中にこもっていたにおいが一気に来るので強く感じます。少し置いてから、もう一度かいでみてください。鶏肉らしい生ぐささだけなら問題ありません。酸っぱいにおい、アンモニアのようにツンと鼻をさすにおいがしたら、食べないでください。
3つ目は、ドリップです。 ドリップは、お肉からにじみ出た水分のこと。パックを傾けて、底にたまった汁を見てください。透明か、うっすら赤い汁なら普通です。にごっていたり、色が変わっていたりしたら食べないでください。中の人が家で「これはダメ」と判断するのは、汁がとろっとして茶色っぽくなっているときです。
ちなみに、うっすら赤い汁は血ではありません。ドリップの正体は、こちらで詳しく書いています。
→ お肉のドリップとは?パックの赤い汁は血じゃない。出たときの扱い方と選び方
3つのうち1つでも当てはまったら、もったいなくても処分してください。傷んだお肉は、焼いても煮ても元には戻りません。買ったその日にパックを開けて様子がおかしかったら、レシートを持って買ったお店に相談してみてください。迷ったら食べない。これがいちばん確実です。
期限内でも傷むことはある。洗っても戻りません
「でも、まだ期限内なのに」と思いますよね。期限は「ラベルの保存方法どおりに保存したとき」の目安です。保存のしかたによっては、期限内でも傷むことがあります。たとえば次のような場合です。
- 買ってから家に着くまでに時間がかかった
- 冷蔵庫の温度が高めになっていた
- 冷蔵庫のドアの開け閉めが多く、中が冷えにくかった
- パックのまま何日も置いていた
中の人は、帰ったらすぐ冷蔵庫に入れるようにしています。買ってきてすぐの保存のしかたは、こちらにまとめています。
→ 買ってきたお肉、パックのまま保存はダメ?最初の10分の3ステップ
期限は「この日までは何があっても大丈夫」という保証ではありません。期限内かどうかより、目の前のお肉の糸・におい・ドリップを信じてください。
次に、「洗えば使えるのでは?」という疑問です。答えは、洗っても傷みは戻りません。表面のぬめりが流れて見た目がきれいになっても、お肉そのものの状態は変わらないからです。
しかも、鶏肉は傷んでいなくても洗わないでください。農林水産省は「鶏料理を楽しむために~カンピロバクターによる食中毒にご注意を!~」のページで、鶏肉を洗わないよう呼びかけています。洗った水がはねると、食中毒の原因になる菌がシンクのまわりや近くの食材に飛び散るおそれがあるためです。
表面のしっとりやドリップが気になるときは、キッチンペーパーで押さえるようにふき取れば十分です。使ったキッチンペーパーはすぐに捨てて、お肉を触った手はせっけんで洗いましょう。

使うときは「拭いて、その日に、中まで火を通す」
3つとも当てはまらず、しっとりしているだけのお肉は、次の順番で使ってください。
- キッチンペーパーで表面とドリップを拭く
- その日のうちに調理する
- 中心まで火を通す
厚生労働省が示す加熱の目安は、中心部を75℃で1分間以上です。切ったときに中まで白く変わっているかも手がかりになりますが、色の変化はあくまで目安です。から揚げや厚みのあるもも肉のソテーなど、中まで火が通ったか見た目でわかりにくいときは、肉用温度計を使うと迷わずにすみます。
→ 肉用温度計は買いか? 精肉のプロが考える「要る人・要らん人」の線引き
その日のうちに使い切れないときは、買った日に冷凍しましょう。家で冷凍したお肉は、2週間を目安に使い切ってください。
もう食べてしまったときは
「糸を引いていたかもしれないのに、もう食べてしまった」という方もいるでしょう。おなかの痛み、下痢、発熱など、体調に変わったところが出たら、早めに医療機関に相談してください。そのとき、何をいつ食べたかを伝えると、診てもらいやすくなります。
うっかり期限を過ぎてしまったお肉の考え方は、こちらにまとめています。
→ お肉の消費期限、1日過ぎたら食べられない? 売り場の中の人の答えと、捨てないための段取り
まとめ
- 糸を引く・酸っぱいにおいやツンとするにおい・にごったドリップのどれか1つでもあれば、加熱しても食べない
- 3つとも当てはまらず、しっとりしているだけなら普通の状態。ただし菌は見た目やにおいではわからないので、洗わずに拭いて、その日のうちに中心まで火を通す
- 期限は表示どおりに保存したときの目安。期限内でも、目の前のお肉の状態で判断する
- 使い切れないときは買った日に冷凍し、2週間を目安に使い切る
見るところが3つに決まっていれば、パックを開けてぬるっとしていても、あわてずに判断できます。
次に鶏肉のパックを開けたら、まず指先か菜箸で軽く触れて糸を引くかどうか、それからにおいとドリップを見てみてください。


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